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男嫌いの女が異世界で男に転生して心の傷が癒えてく話し  作者: 6ミリナット


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22/33

戦い2

  氷の鋭い刃が私を貫こうとしている。


 その時、無表情の生徒の顔が変わる、何かに驚いた様に。


  風を切る音が聞こえ、凄まじい速度の何かが私の頭上を通り過ぎ氷が砕ける。


 生徒自身は何とか避けてかわしたようだ。


 ザっと土を踏みしめる音が聞こえ、横に人影をたつ。

『大丈夫ですか、ロイ先輩』


 視線を向けると、そこにいたのはデニスだった、心配そうにこちらを見ている。


 私は顔を伏せた、情け無い泣き顔を見られたくなかった、けれど、デニスが助けにきてくれた喜びでまた涙がでそうにいる。

『大丈夫なわけはないですよね、もうすぐアニーが来てくれます、それまで頑張ってください』

 私が顔を伏せていると、デニスがそう言ってくる、実際に背中の傷の痛みは酷く、意識は朦朧としている

『なぜロイ先輩を刺した』

 デニスが、私を刺した生徒を睨みつけ問いただす。


 相変わらず、生徒は何も答えない、ただ少しだけ不愉快そうに顔を歪めた。

 

  その間に、サーペントがまた襲いかかってくる。

 サーペントの牙がデニスに迫る、その時デニスの体がブレ、破裂音とともにサーペントの頭部が弾け飛んだ。


 生徒がさらに不愉快な表情を強める、そして、生徒に変化が起きた。

 プラチナブランドの髪が、暗く染まっていく、同じ様に瞳も暗く、やがて暗く深い紫色に染まり切る。


 生徒が氷の魔法を構築する、先程見せた魔法より、巨大かつ鋭い、構築する速度も速い。

 生徒がデニスに向け魔法を放つ。

『死ね』

 初めて生徒が言葉を発した。

『避けろ』

 私はデニスに向け叫けぶ、背中の傷が痛んだ。


 デニスは避けようしない、避ければ私に当たるからだろう。


 衝撃音が響く

 後に残ったのは、砕けた氷と無傷のデニスだった。

 デニスが、拳で全て叩き落としたみたいだ。

『無茶苦茶な奴だな、お前は』

 私は、呆れた様に言う。

『そんな事はないですよ、それよりあいつの髪色は』

 デニスが、生徒に視線を向ける。

『闇の一族か、何でこんなところに』

 私は呟く様に言う。


 闇の一族、強力な魔力と強靭な肉体を持つと呼ばれる一族だ、その髪と瞳は、魔力の質、量を問わず、皆等しく紫色をしている、その性格は凶暴で呪われた一族と呼ばれ、既に滅ぼされたと伝えられている一族だ。


『滅んだんじゃなかったのか』

 デニスが言う。

『滅んではいない』

 デニスの言葉に生徒が反応する、その顔には怒りが見て取れた。

 生徒が、また氷の魔法を放ってくる。

 けれど、デニスが全て叩き落としてしまう。


『ロイ先輩、遅くなりました』

 後ろから声をかけられる、振り返ればアリサがそこにいた。

『今、治します』

 アリサが、私の背に手を翳すと、暖かい感触とともに、痛みが和らぐ。

 コトリと音がし、短剣が落ちた事に気付く、見てみれば思った通りの短剣だ、ナイフよりはやや長いくらい。

『もう、大丈夫ですよ』

 もう、終わったのか、あまりの速さに驚き、恐る恐る背中に手を回せば、血で濡れてはいるが確かに傷口は塞がっていた、立ち上がってみて体を軽く動かしてみるが何も問題なかった。

『ありがとう、それにしても凄いな、こんな簡単に治すとは』

 アリサの治癒魔法に驚いた、以前は時間をかけても、なかなか深い傷は直せずにいたのに、ここまで進歩していたとはな。

『はい、学園長のおかげですね、でも実際の傷を治したのは初めてなので、私もびっくりしましたよ』

 そう言ってアリサは笑う。


 そういえば、アリサの訓練は特殊な粘土を使っていて、実際に治したりはしてなかったな。


 回復した私は立ち上がり、敵を見据える。

 ゴーレムがデニスに近付き、拳を振り上げ殴りつける、デニスは簡単に避けると、懐に入り込み体を回転させ後ろ回し蹴りをゴーレムの胴体に打ち込んだ、

 激しい轟音と共に巨体のゴーレムが吹き飛ぶ。

 ゴーレムの吹き飛んだ影から、巨大な氷塊がデニス向かってくる、敵の生徒がタイミングを計り攻撃していたのだ。


 デニスは気付くのが遅れ防御が間に合いそうもない。

 私は火炎を放ち氷塊を押し止め溶かした、もちろんデニスに火炎が当たらない様調整して。

 今の私は部分的に火炎を当たらない様、制御できる。


 吹き飛んだゴーレムを見れば、胴体の部分に亀裂が奔っている、その亀裂に炎を潜り込ませ内側から熱すると、亀裂は全体に広がり最後にはゴーレムは砕けちった。


 ゴーレムが砕けるのを見ると、生徒は舌打ちをし魔法を放ってくる。

【氷嵐】

 膨大な数の氷柱が私達に降り注ぐ、生徒はそのまま私達に背を向けると走り出した。


 逃げるつもりか


『逃がすか』

 デニスが追いすがるが、氷柱が邪魔で上手く進めない、一つ一つの氷柱は大した事ないが、数が多くて邪魔になる。


 私は、逃げる生徒に向け、単純な火炎を最大火力で放った、火炎が氷柱を突き抜け生徒にせまるが、当たる前に氷がそれを防いだ。

 けれど本当の狙いは成功した。

『いけ、デニス』

 私の言葉に、ハイと頷くとデニスは私が火炎で作った氷柱の隙間を、疾風の如く駆け抜けた。

 遠く前方で、デニスが生徒を吹き飛ばしたのが見える。


 本気で殴ってはいないだろう、生身の人間がデニスの拳をまともに受ければ、例え闇の一族とはいえ、弾け飛んでしまう。


 デニスが生徒を抑え拘束している、その場所に私達も向かった。

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