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男嫌いの女が異世界で男に転生して心の傷が癒えてく話し  作者: 6ミリナット


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特訓2

アニーに揶揄われてから数日、デニスとの特訓の日々は変わらずに続いていた。


あれから、何となくだかアニー言われた事を意識してしまい調子が悪い。


まるで、これでは図星突かれてしまって戸惑っているみたいだ。


そんな筈はないと自分の考えを打ち消すが消そうとすればするほど、心の騒めきは大きくなるばかりだ。



『大丈夫ですか、調子悪そうですけれど』

その日の訓練の終わりに、デニスが心配そうに尋ねてきた。


『ああ、大丈夫だよ、気にしなくていいよ』

ハッとして、私は直ぐに否定する、今日の訓練では四度デニスの攻撃を受け倒れてしまった。

デニスの動きが良くなってるのも合わせても、心配されるのは仕方ないだろう。


『いえ、俺が無理して特訓に付き合ってもらってるせいで、申し訳ありません』

本当に申し訳なさそうな顔をして、デニスが頭を下げる。

『本当に大丈夫だから、俺としても訓練は為になるしな、今日はちょっと調子が悪かっただけだよ』

私は慌てて、そう言った。


『そうですか良かったです、でも迷惑になったら、いつでも言ってください』

まだ、少し心配そうな顔をしてデニスが言う。


これはマズイな、気持ちを引き締めないとデニスに心配をかけてしまった自分を情けなく思う。


ふいに足音が聞こえてくる。


私は足音の聞こえた方に視線を向ける、デニスも気づいた様で私と同じ様に視線をむけた。


『学園長?』

私は思わず呟く。


足音の主は、サハル学園長だった。

何故ここに学園長が、私の頭に疑問符が浮かぶ。


学園長は私達二人の前までくると、柔和な笑みを浮かべ『お疲れ様』と私達に声を掛ける。


『はい』と、返事をして、学園長に頭を下げて礼をした後、疑問を問いかける。

『なぜ学園長が、ここにいらっしゃるんですか?』


『君達がここで訓練を行っていると聞いたのでな、面白そうだと思って見にきたのだよ、実はすまないが、訓練の途中から拝見させてもらっていたよ』

貫禄のある顔に、少しだけ少年の様な笑みを浮かべ学園長は言う。


全然気づかなかった、学園長が見ていたとは、しかし、国有数の魔導師である学園長から見て、私達がどう映ったか気になり私は、学園長に問いかけた。

『まだまだ未熟だとは思いますが、学園長から見てどうでしたか私達は、できれば助言等頂けたら』


私の言葉に、学園長は少しだけ考える素振りを見せた後、話し出した。

『まず、君達の年齢を考えれば素晴らしいと言う言葉しかでないな、私が君達くらいの頃に、これほどの実力があったかどうか、生まれ持った魔力量に奢らず、しっかり鍛錬しているのがよく分かったよ』

思いもかけない学園長の賛辞だった、普段褒められたからと言って、さほど気にもしない私だが、学園長程の魔導師にこうも褒められては浮かれてしまいそうになる。

デニスも同じ様に嬉しいのだろう、照れた様な表情を浮かべている。


『まだまだ荒い部分もあるが、今の段階なら十分過ぎるだろう、聞きたいのだが、何故毎日残ってまで強くなりたいんだね』

私達が浮かれていると、学園長が言葉を続けて問いかけてきた。


『それは......』と、私は呟き、デニスに視線を向ける


学園長もデニスに視線を向ける。

二人の視線を向けられたデニスは、今回の特訓にいたる経緯を学園長に説明した。

『 なるほど、そういう事か...... 君達がそこまで心配しなくても良い、学生を守るのは教師の役目だ、と本来なら言いたいとこだがな、実際に前回、君達を多大な危険な状況に置かせてしまった、君の考えもわかるし、心強く思うよ』

そう言って、学園長は笑みを浮かべる。

そして、一呼吸を置いて、話しを続ける。

『その話しを聞いてから言わせてもらうと、君達の技量は学生の域をでていないと言える、前回の時の様に禁呪が絡む様な実戦は厳しいだろう』


学園長の言葉は、薄々私自身感じていた事だった、おそらくデニスもそうだろう、確かに訓練を通じて、強くなっている実感はあったが、それでも何か足りない様な気はしてた。


その事でデニスに焦りが生まれている事にも、私は気づいていたが、不思議と私自身にはそれ程焦りはなかった。

きっと何処か他人事だったのだろう、前回の様な事が頻繁に起きるわけないと、教師達が何とか上手く事を収めてくれると。

デニスには悪いが、彼の気持ちが納得するまで付き合ってあげれは良いという気持ちがあったのだ。


だから、学園長の言葉にも私は落ち込む様な事はなかった、けれどデニスは違ったみたいだ、その顔が酷く落ち込んでいく。

その顔を見て、ズキリと私の胸にも鈍い痛みが奔った、私はデニスの気持ちを踏みにじっていたのかもしれない、そうゆう思いが頭をよぎる。


『厳しいですか』

今にも崩れ落ちそうにデニスが呟き、学園長の顔を伺う。

学園長はデニスの顔をしっかりと見据えると口を開いた。

『厳しいな』

ハッキリとした口調で学園長が断定する。

『けれど』と学園長は、話しを続けた。

『それは、今の状態ならという事だ、君達はまだまだ伸び代がある、私の指導を受ければ前回以上の脅威を乗り越えれる実力を手にいれられるだろう』


『学園長が、指導してくださるんですか』

デニスが、パッと顔を明るくさせて問いかける。

『うむ、君達の熱意に年甲斐にもなく、胸を熱くさせてしまってな、むろん生易しい訓練ではないぞ、それでもやるか』


『やります! やらせて下さい、お願いします!』

一瞬すら迷わずデニスが答える。

学園長の視線が私を向く。

どうしようかと、思う、デニス程の気持ちは私には無い、それに正直今のままでも結構しんどい、これ以上のものを考えると気が重たくなってくる。

ふと、デニスを見ると、私が断るとは欠片も思ってない様に目をキラキラさせて私を見ている。


くっ、視線が痛い、凄く断りずらい。

まあ、乗りかかった船だ、今更引くのも詰まらないなと私は思う。

『私もやります』

そう学園長に告げた。



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