実習3
今回は短め
私の放った炎が魔猿を飲み込んでいく。
しかし倒せたとは思えない、咄嗟に勢いだけで出した炎だハンナの話しを聞く限り、この程度の炎で倒せるとは思えない。
油断なく構え、魔力を練り上げる。
『大丈夫か、デニス』
魔猿から視線を切らさずにデニスに呼びかける。
『何とか...... 大丈夫です...... よ』
息を切らしながら、デニスが答える。
『ハンナは下がっていてくれ、悪いけどデニスはもうちょいいけるか?』
『私も戦います』
ハンナはそう言うが、その声は震えていた。
『気持ちはわかるが君を守っている余裕はなさそうだ
』
キツイ言い方になってしまったが,ハンナがいても足手まといにしかならないだろう。
ハンナは少し躊躇いを見せたが、黙って頷いてくれた。
ハンナが距離を取り出した頃、薄くなった炎の中から影が私目掛けて飛び出してくる。
飛び出してきた影、魔猿に私が再び炎を放とうとした時、デニスが横から蹴りを入れる。
デニスから注意がそれていたためか、魔猿は吹きとび転がっていく。
『流石だなデニス、すまないが5分ほどそいつを止めといてくれないか、一発強力な魔法で決めるから』
私の炎もデニスの蹴りにも、さしてダメージを負った様に見えない魔猿には、強力な炎じゃなくてはだめそうだ。
私には魔猿を仕留められそうな魔法がある、しかし放つまでに時間がかかる、その時間をデニスにかせいで欲しかった。
『わかりました、先輩』
デニスが了承する
一息吐いて、集中を高める、体の力も抜く
両手を前に出すと、炎が吹き上がる
吹き上がった炎を丸く形成していく、直径1メートルほどになった炎球を、更に大きく膨らませる
やがて炎球が直径10メートルほどに膨らんでいく
その炎球を圧縮する
圧縮 圧縮 圧縮
炎球が見る間に小さくなっていく
さらに圧縮、炎を、熱を、魔力を、限界まで圧縮する
やがて拳ほどの大きさまでに圧縮した炎球は、もはや炎というより、ただの魔力の塊に見えた
限界まで圧縮された炎球は、一瞬でも気を抜けば、私の制御は崩れ爆発を起こすだろう
視線を魔猿に向ける、デニスは苦しそうだが何とか魔猿を止め続けてくれていた。
『デニス、もういいぞ離れろ』
私の声を聞くと、デニスか魔猿から離れる
ありがたい事にデニスは離れ際、魔猿に蹴りを入れ魔猿のバランスを崩させてくれる
【光熱閃】
限界まで圧縮された炎は、もはや光線となって魔猿の体を飲み込んでいく。
光線が消えた後、魔猿がいた場所には何も残っていなかった。




