素敵な朝
ピピーピピー。
う〜ん。 携帯のアラームで目が覚める。
昨日はドキドキしてなかなか寝付けなかった
あの美希ちゃんが僕を誘ってくれたんだ。
自然に笑顔になる。
カーテンを開けていつもと同じ景色もなんだか新鮮に感じる。世界が僕の味方になってくれた気がする。
ひょっとすると美希ちゃんは僕の事を好きなのかもしれない。
僕はそう考えると腹の底から何か大きな物が湧き上がるのを感じた。
そうだ今日は休みだから来週のカラオケで着ていく服を買いにいこう!その前にネットでどんな服が流行りなのか調べなきゃ!
母(拓海起きてご飯食べなさーい。)
いつもはうるさく聞こえる母の声も今日は素直に聞く事が出来る。
こんな気持ちになれるなんてあー幸せだ。
少し遅い朝食を済ませて僕は買い物に出掛けた。服を買いに行くのは何年ぶりだろうか今着ているトレーナーはよく見るとヨレヨレだ
自転車で駅まで向かうはずが無意識にバイト先に向かっていた。いや故意にだ。
今日は美希ちゃんがシフトで入ってる。
反対側の歩道で自転車を止めてレジを見る。
あーやっぱりかわいいな。
美希ちゃんはレジを打っていた。笑顔で接客してお釣りを渡す時にお客さんのてに触れるんだ多分無意識だと思うのだが。
男だったらドキっとしてしまう。
あーどうしょう。コンビニに入ろうかな。
でもなんて喋ればいいんだ。今まで挨拶以外した事ないのに。
いや。美希ちゃんは僕の事が好きかもしれないんだ。顔を見せてあげれば喜ぶかもしれない。
、、、よーし行くぞ。僕はお客さんとして行くんだ。やましい気持ちなんてないんだ。
たまたま近くを通っただけだ。
ブツブツと独り言を言いながら店に入る。
ブイーンと自動ドアが開くと美希ちゃんと目が合う。彼女は一瞬キョトンとして軽く頭を下げたが笑顔ではなかった。
、、、しまった。やはり休みの日にワザワザバイト先に来る奴なんて危ない奴と思われたんだ。自分の安易な行動に後悔してすぐに飲めないブラックコーヒーを手に取りレジに向かう。恥ずかしさと後悔で顔が上げれない。
美希ちゃんがいらっしゃいませ。と業務的な声で対応する。
もう駄目だ。バイト辞めよう。
美希(今日はデートですか?)
小さな声が聞こた。
はっ?僕は自分の耳を疑う。顔を上げると女神の様な笑顔がそこにあった。
えっ!あ、うん。
自分がなんて答えたかはっきり覚えていない
頭が真っ白になりレジを済ますとがむしゃらに自転車を漕いでいた。
気が付くと隣町の駅まで来ていた。
そして僕は確信した。間違いなく彼女は僕の事が好きなんだ。
飲めないブラックコーヒーを一口含むとブハーと吐き出した。苦いが甘い味がした。