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第十五話 トーナメント戦最終日①

本日二話目の投稿です。

一話目をお見逃しないよう、ご注意ください。

 第十五話 トーナメント戦最終日①



 さて、本日はトーナメント戦の最終日、すなわち決勝戦である。

 ついに決勝までやってきたわけだ。

 今回の相手は秀樹な訳だし結構大変だな。

 勝てないとは思わないけど、どうだろうか。

 身体能力だけだと互角かむこうのほうが上だろうしな。

 手持ちもそんなに多いわけではないし、なかなかきついかもしれない。

 そんなこと感じで今日の試合のことを考えつつ、家をでた。




「おはようございます、先輩方。」

「おや、おはよう。」

「おはようございます、北神君。」


 朝の通学路で、桐山先輩と井内先輩にであった。


「そういえば、決勝進出おめでとう。

 なかなか連携のとれたいいチームじゃないか。」

「ありがとうございます。」

「そうですね。

 今年の主席は制御がすばらしいと教官から聞いていましたが流石ですね。

 あの距離でも風をうまく受け流せるような角度で壁をはれると言うのはなかなかのものだと思います。」

「あぁ、あれか。

 あれは流石だなと思ったよ。

 あれは練習しているのかい?」

「遠距離での操作ですか?」

「そうそう。」

「はい、一応。

 こないだの一週間のうちに他の人に張り付かせる練習はしておきました。

 始めのうちは、かなりきつかったですね。

 離れれば離れるほど微調整が聞かなくなって張り付かせた人にあたってしまったりして。」

「あぁ、なるほどな。

 確かに距離が離れた状態での細かい制御は難しいよな。」

「そうですね。

 私も距離が離れすぎると目が痛くなってしまいます。

 ですが、そういう練習はやればやるほど伸びるものですから、やっておいたほうがいいと思いますよ。

 やっておかなければ、いつ後悔するかわかりませんから。」

「そうですね、力が伸びなくなったときなんかにそうなりそうです。

 ところで、先輩方はどうして、今日の試合にでないのですか?」

「ん?」

「いえ、どうして会長と副会長の試合になったのかな~と疑問に思いまして。」

「あぁ、あたしは、今足首をけがしてるからね。

 それが理由だよ。

 今年の春に少しやってしまってね。」

「私は、能力的に地味ですので。

 それでしたら、派手な二人のほうがいいでしょうということになりましたので。」

「なるほど。

 ところで、会長と副会長って戦ったことはあるんですか?」

「いや、なかったと思うよ。

 今回が初めてのはずだ。」

「はい。

 今回が初めてですね。

 ただ会長とは先輩が、副会長とは私が戦ったことがあります。」

「そうなんですか、そのときってどんな感じだったのですか?」

「激戦ね。

 あのフィールドが半壊したわ。

 あの時はすごかったわよ。」

「私の時は、そこまで派手ではありませんでしたね。

 強いて言うならば、彼女が蹴りで建物を粉砕したぐらいでしょうか。」

「それは、十分派手なのではないでしょうか......。

 というかそれでよく生き残れましたね。」

「大振りの攻撃であればたいてい避けられますので。」

「そうなんですか……。」


 大振りとはいえ、建物が倒壊するほどの蹴りであれば、かなりの速さだと思うのだが……。


 ちなみに勝敗はどうなったのですか?」

「私たちがどちらも負けてますね。」

「最後は、火で暖められた空気をおしかえきれずに体勢を崩したところを一気に攻められてやられたんだよねぇ。

 どうせだったら勝ちたかったんだけどなぁ~。」

「井内先輩の方は?」

「どちらも決め手にかいたせいで、結局私のチームのほか二人が先にやられてしまったので、私が降参するという形で決着がつきました。」

「なるほど。

 ということは、今回の試合は、二年トップと三年トップの戦いってことですか?」

「そうだね。

 二人が多分学年トップだと思うよ。」

「そうですか。」

「まぁ、その前に、決勝戦があるわけだからな。

 頑張れよ。」

「はい、精一杯やらせていただくつもりです。」

「相手は、西野くんですからね。

 いい勝負を期待しています。」

「やはり、主席対次席の対戦になったな。

 まぁ、毎年そうなんだが。

 まぁ、今回の試合は能力を見ればお前のほうが有利だろうしな。」

「そうでもないですよ。

 あいつは武術の腕はヤバいですからね。

 それだけでも相当戦えますし。

 それに、今回は使わないとは思いますが、いろいろと特殊な動物達を飼ってますからね。

 毒を持った奴らも多いので、暗殺なんかにはぴったりですよ。

 あいつの能力はね。」

「確かに有用そうですね。

 ですが、今回に限ってはルール上他の生物の持ち込みは禁止ですから使えないでしょうけど。」

「そうなのか。

 たしかに、虫なんかを操らせれば、暗殺なんかには最適だな。」

「そうですよ。

 まぁ、本人は戦闘はあまり得意ではないとか言ってますけどね。」

「ともあれ、気を抜かないように頑張ってください。

 観客席から応援しています。

 まぁ、ちなみに夏の新人戦の選定なんかもここでも行われるんですけど、生徒会に入っているという時点で半ば強制的にメンバーに選ばれているようなものですから。

 北神君に関してはあまり関係ありませんね。」

「あぁ、なるほど。

 まぁ、それは確かにそうかもしれませんね。

 それでは楽しみにしていてくださいね。」

「はい。

 期待しています。」

「楽しみにしてるよ。」


 そういって先輩達と別れ教室へと向かうのであった。




「......本日で最終日となります。

 このクラスでは、北神くん、杉下さん、藤井さんのチームが決勝へと進出しています。

 みなさん、彼らを応援してあげてください。

 また、他にも、本日はちょっとした模擬戦があります。

 そちらの方も是非楽しみにしていてくださいね。

 以上です。」


 先生からの応援と、クラスメートからの拍手を受け、その後、会場への移動となった。

 移動の最中、二人が話しかけてくる。


「いよいよ決勝戦だね。」

「そうですね。

 ここまで来たら絶対に勝ちたいです。」

「そうだな。

 二人には期待しているぞ。

 おそらく俺は秀樹で手一杯で二人の援護はかなり厳しいと思う。

 頑張ってくれ。」

「分かった。」

「分かりました。」

「他の相手二人は任せたぞ。

 俺は秀樹に絶対勝ってみせるから。」


 そんな話をしながら、会場へと向かっていくのであった。




 現在俺たちは控え室の中で出番を待っている。

 三位決定戦は終了し、前回戦ったF組のグループが三位となったようである。


「よし、今から決勝戦だが準備はいいな?」

「問題ないわね。」

「バッチリです。」

「ついに決勝まで来たわけだが、ここまで来たならばどうせなら勝ちたい。

 そのためには一人一人が自分の仕事をきっちりとこなすことだ。

 いいな?」

「「はい。」」

「俺は、このチームが向こうよりも劣っているとは思っていない。

 実力では勝っていると思っている。

 だがしかし、油断をすれば足下をすくわれるだろう。

 心してかかれ。

 相手は今までのどの敵よりも強いはずだ。

 ならば我々は今までの試合よりもいい試合をしなくてはならない。

 いくぞ、ファイトー「「オー!!」」」

「では、第一試合に出場する選手は所定の位置に着いてください。」


 アナウンスが流れる。

 こうして俺たちはトーナメント戦の第六戦目、決勝の舞台に挑むのであった。




「では、試合を開始します。

 始め!!」


 開始の合図がなる。

 水球は一試合に十個までしか持ち込めないと言うルールになっていた。

 しかも、ここは市街地のフィールドなのにも関わらず、水が張り巡らされていない。

 水道があるのに水が出ないと言うまさかの事態である。

 こんなの市街地じゃないだろうとつっこみたい。

 つっこみたいと思うのだがそうなっているからにはしょうがない。

 ちなみになのであるが、水を扱える超能力者は少ない。

 なぜなのかは、今現在はっきりしていないが、現在の主流の理論はそもそも、超能力者が生まれる原因となった災害に津波や洪水なんかの水害がほとんどなかったからではないかと言われている。

 そのため、火を使う人や風を使う人などに比べ水を扱う人は圧倒的に少なく、日本では我が家の家系をのぞくと数人単位でしか存在しないのだ。

 世界単位で見てみたとしても、その数は、百人もいないと言われている。

 もちろん水を操ると言ってもその人それぞれによってできることは千差万別なのだが。

 例えば、姉さんなんかは水といっていいのかわからない能力ではある。

 まぁ、水が通っていないのは、そういう理由もあるのかもしれない。

 とは言え、空気中や、地中には水分が割と豊富に含まれているのでそれを利用することはできる。

 できるのだが、いかんせん効率が悪い。

 やることはやるのだが、時間がかかるのであまり期待はできない。

 と言うわけで、少しずつ水を集めながら、敵方へ向かっていく。

 すると敵の三人の姿が見えた。

 戦闘開始である。


『秀樹は任せろ。

 他の二人をよろしく。』

『『了解。』』


 そう念話でつたえ、突っ込んでいく。


 秀樹もこちらの狙いと同じように戦おうとしているのか、一人だけスッと離れていく。

 こうして俺は、屋根の上に飛び乗り、少しはなれたほうへと向かう秀樹を追っていくのであった。




 〜side輝美〜


『秀樹は任せろ。

 他の二人をよろしく。』

『『了解。』』


 秋水に肯定の返事を返したあたしと澪は、他の二人の方へと向かっていった。

 目の端で見た感じで言うと、秋水の相手はかなり速い動きだった。

 これはかなり厳しい戦いかも、そんなことを思いながらも、他の二人に向かっていく。

 相手のチーム編成はこちらと同じく男子一人と女子二人だ。


『私が先に突っ込みます。』

『了解、援護するわ。』


 澪に返答し、風弾の準備をし、少し距離を明け、突っ込む。

 相手の片方は火の能力、もう片方は風の能力だ。

 風を操る方が接近しようとするあたしたちに、牽制を打ってくる。

 さらに火を操る方もその風に乗せ攻撃を加えてくる。

 なかなか連携がとれていて厄介である。

 風によって舞い上げられた砂埃が少し視線をさえぎり、なかなかに邪魔だ。

 こっちの二人は遠距離攻撃がどちらも苦手なため、状況はかなり厳しい。

 しばらくかわしているが、次の一手が打てない。

 秋水の方もさっきの様子を見る限り、手助けは期待できないし、あるとしても、こちらが見えない場所にいるので無理だろう。


『しかたないわ。

 多少ダメージはあるかもしれないけど一気に突っ込むよ。

 あたしが風で盾を作って突っ込むわ。

 こっちに集まると思うからそこから一気に攻めて。

 しっかりと二手に分かれるわよ。』

『分かりました。』


 そう伝えると、あたしは一気に力を解放する。

 あまり時間は持たないけど、そんなにいろいろ言ってられない。

 武術との掛け合いの中で生み出した、いうなれば奥義のひとつである、全身に風の防壁を張り巡らせ、スピードと、防御力、そして攻撃力を高める技を用い、一気に突撃を試みる。

 特に制御しないままに、前方へ風を打ち出す。

 あまり制御できていない分、範囲あたりの威力なんかは落ちてしまうけれど、それでも相手の体勢を崩すぐらいはできるだろう。

 そんなことを考え、打ち出すと、思った通り、相手が体勢を崩し、攻撃がぶれた。

 これが最初で最後のチャンスだ。

 そう思って、全力で接近する。

 先に火を操っていた方から攻撃だ。

 接近して一気に責め立てる。

 接近戦はあまり得意ではなかったのか、剣で防ごうとする初動までが遅い。

 相手が、ガードの動作に入る前までに、剣をあて、戦闘不能のランプがともる。


『輝美ちゃん、右斜め後ろです。』


 澪からのテレパシーを受け、左へと飛ぶ。

 そのすぐ右をかすめるようにして、風が吹き荒れる。

 が、躱したはいいものの、さっき思いっきり能力を使った反動か、体があまり動かない。

 すぐに追いつめられるが、やっと澪が追いついてきた。


『後は任せて。』

『ごめん、あたしはちょっともう厳しいかも。』

『一人はそっちが倒したんだから、もう一人の方はあたしの仕事だよ。』


 そういって、剣を打ち合わせる。

 が、接近戦になった上に、二対一になった時点でこちらが有利だ。

 あたしももう無理かもとはいっても、多少は動けるので、向こうはこちらも警戒しなければ行けないからだ。

 結果、多少粘られはしたものの、最後の最後で集中力が途切れたのか、かなりずれたほうへと剣を突き出し、はずす。

 そこでバランスを崩した相手に対し一気に攻め込み最後は澪の突きでなんとか勝利を得たのだった。

 が、澪も最後に攻撃を食らってしまったのか倒れ込む。

 それを見て、私も地面に座り込んだ。


(後は任せたよ、秋水。)


 そんなことを考えながら。



 第十五話 end

因みに、今書いてある閑話は、

①ジョン・レドナップ氏の研究

②軍人パパの日常

③???


などですね。

それぞれもしかしたら投稿するかもしれませんが、しないかもしれません。


後は、前話の続きの話なんかも書きたいな~、なんて思っております。

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