閑話 北神家の一日
短いです。
本日は、後何話か投稿する予定です。
〜side秀樹〜
「あら、いらっしゃい、秀樹さん。」
「お久しぶりです、美雨さん。」
夏休みのある一日、僕が北神家を訪れると美雨さんが玄関で迎え入れてくださいました。
僕が前回この家を訪れたのは、そこまで間が空いたわけではないのですけど、昔は毎日のように訪れていたので、とても久しぶりな感じがします。
「ごめんなさいね。
霧華は今、秋水と一緒に出かけてしまっているんです。
ですので、少し上がって待っていてくださいな。」
「えっと、一応僕が会いに来たのは秋水になのですが……。」
「あらあら、そうなのですか。
てっきり、いつも、霧華に会いに来ていたのかと思っていたんですけど。」
「ええと……。」
外と比べると少し肌寒く感じてしまう(本日は猛暑日になると予想され、現在十時だが、かなり気温が高かったため)リビングに案内されソファーへと座ると、少し肌寒そうにしていた僕を見て麦茶にかえて紅茶を入れつつ、僕が反応したところにいきなりぶっこんできます。
美雨さんはとてもいい人なんですけど、正直、こういう所は少し困りますね……。
「ふふっ?」
にこにこと笑う美雨さん。
その姿は、その若い容姿と合間って、いたずらを成功させた子供のような印象を受けます。
普段は、とても察しがよく、気が利くお母さまなのですが、こういう時だけは察しが悪いフリをして、相手を困らせるというのが少し困りものですよね。
まぁ、それを笑ってごまかせる人徳があるからこそ、そうできるのですが……。
笑っている美雨さんを見て、霧華さんの笑い顔はお母さん譲りなのですねなどということを思いつつ、とりあえず、答えなくては話が進まないので、答えなくてはいけません。
ガチャリ
「「ただいま〜。」」
「あら、お帰りなさい。」
その、鍵の開く音に安堵の表情を浮かべる。
それをみて、少し笑いを浮かべつつも、二人が帰ってきた途端にすっと表情を変えて迎え入れる美雨さん。
ここで、しつこくせずにさらりと流すのが美雨流であり美雨さんの美徳でもありますね。
「お邪魔します。」
「あら、茜さん、いらっしゃい。」
「お久しぶりです、美雨さん。
こちら、お土産です。」
どうやら、霧華さんの友人の一人である梅野さんも来た様で、なにやら、美雨さんと話をしているようです。
「ごめんね。
ちょっと待たせちゃったみたいで。」
そちらを見ていると霧華さんが少し申し訳なさそうにこちらに話しかけてきます。
秋水はというと、何かを探しているのでしょうか、ウォーキングクローゼットを開いて何かをしています。
「いえ、大して待っていませんのでお気遣いなく。
それに、何か用事があったのですよね?」
「それはそうなんだけど、それはこっちの不手際だったわけだから。」
「別にいいですよ、それぐらいは。
ところで、何の用事だったんですか?」
コの字型になっているソファーの僕から見てちょうど右斜め前に座り、自分の分の紅茶をいれている霧華さんに尋ねます。
「えっとね、今日の夜にお父さんが帰ってくるんだけど、誕生日が過ぎてたからそのためのケーキを買いに行っていたのよ。」
「そうなんですか。」
聞けば、現在、北神家の父、北神玄一は所属する軍の仕事でしばらく遠征に出ていて、そろそろ帰ってくるのだそうだ。
「……というわけで、ケーキを買いに言っていたというわけ。」
「そうなんですか。」
「準備できたよ~。
部屋にいかない?」
「あっ、ちょっと待ってて。
じゃ、行こっか?
茜~。
行くよ?」
そんな感じで談笑していると、秋水がこちらに呼びかけてきます。
手には秋水が気に入っている昔ながらの四人で遊べるボードゲームを持っています。
それを見て、霧華さんは美雨さんと楽しそうに話をしている梅野さんにも呼びかけます。
「分かったわ。
ありがとうございました、美雨さん。」
「ふふっ、たいしたことではありませんよ。」
「あっ、さっきのケーキのところに俺たちが食べるケーキも買ってきたから後で持ってきて~。」
「はいはい。
それじゃあ、茜さんが持ってきてくれたお土産と一緒に持っていきますね。」
「うん、よろしく。」
こうして、僕たちは廊下を渡った先の畳の部屋で、秋水の持っていたボードゲームや、トランプなどのカードゲームなどを楽しむのでした。
三十分立っても投稿されていないのに気づき、投稿しなおした瞬間に自分の画面に二つ出るという罠。
くそっ、これが孔明の罠というやつか。