ニャン×4
ニャン×4
現在、追試中。
追試者は二人。
私と煌樹。
外は真っ暗。
時間的に最終下校時刻。
さすがに追試で落ちるような、失敗はしませんよ?
でも、妨害は相も変わらず。
止むことがない。
これは、本人に言ってやらねば。
誰も気づいていない、気づかないのだから。
とはいえ、なかなかひどい物だった。
ふわふわの先端でくすぐるし。
ペンは弾かれるし。
消しゴムは吹き飛ばされるし。
それでも。
それでも何とか、できた気がする。
「はい、やめ。」
「持ってきて。」
先生がその場で採点を始める。
緊張の一瞬。
自信はあるが、不安もあるのだ。
隣に煌樹。
そうだ。
今のうちに、言っておこう。
「ねぇ、煌樹君。」
「あのさ。」
「話があるんだけど。」
どう切り出す?
尻尾どうしたの?
か?
それとも。
尻尾触らせて。
か?
いやいや。
触らせては……
いいかも。
そうこう考えている内に、時間は過ぎていく。
「はい、二人とも合格。」
「時間が時間だから、さっさと帰れ。」
邪魔者を吐き出すのかのように、言い放つ。
追試さえなければ、ここにはいませんよ。
全く。
「ごめん。」
「あとでね。」
「とりあえず、今は出よう。」
そう告げて、急いで教室を出た。
テスト終了。
教えてもらったおかげで何とかなったぜ!
と、心の中で小さくガッツポーズ。
まだ採点は終わってないけどね。
あいつは、乙心が俺の事を……
いやいや、たぶんからかっているだけだ。
あーでも。
そうだったら、嬉しい、な。
赤ペンを走らせる音が響く。
乙心が少し、近づいた。
「ねぇ、煌樹君。」
「あのさ。」
「話があるんだけど。」
おっとぉ。
この展開は!!
心臓がバクバク言い出す。
テストでの緊張、なのか?
いや、違う。
返答はどうする?
うん、おれも。
これは、なんか微妙。
こちらこそ、よろしくお願いします。
こっちは、なんか堅い気がする。
何だこの空気。
先生いるのに、変な緊張させて。
くっそー。
ちらりと、彼女を見る。
何か言おうとして、ためらっている。
そんな風に見えた。
さぁ、来い。
さぁ。
興奮しながらも、外見だけは落ち着かせようと言い聞かせる。
待ちわびるその瞬間。
千年よりも長く感じる。
物のたとえではあるが。
ガチャッ
長針が動く音が響いた。
誰もいない教室に、二人っきり……。
ではなく、先生入れて三人。
ジェットコースターの最初の上り坂の様な。
ちょっと違うけど、そんな緊張感。
誰か、助けて。
やっぱり、助けないで。
「はい、二人とも合格。」
「時間が時間だから、さっさと帰れ。」
先生……。
話聞いていたでしょう……。
テスト用紙を受け取りながら、心の中で叫ぶ。
なんとなく、先生がニヤニヤ笑っているように感じた。
「ごめん。」
「あとでね。」
「とりあえず、今は出よう。」
絶対この人楽しんでいる。
出なければあのタイミングで、あんなこと言わないって。
がっかりしながらも、帰る支度を始める。
乙心は、先に行ってしまったようだ。
あぁー。
ため息交じりに、教室を後にした。
自転車にまたがり校門の前。
彼女はそこで待っていた。
まわりには誰もいない。
近くへと行く。
「煌樹君。」
「さっきの話だけど。」
なんとなく、決心がついたような表情。
覚悟を決める。
「私、貴方の事が気になってました!!」
やっほい、きたー!!
「今日の朝から。」
……え?
沈黙を引き裂くように、バイクの音が通り過ぎる。
満天の星空は、街の明かりによってかき消されている。
そして、今は一月下旬。
冬はまだまだこれからだ。




