ニャン
ニャン
ある日突然、尻尾が生えていたら。
貴方はどうしますか?
隠す?
見せる?
それとも……
かき氷でも食べたのかのように、キンキンに冷えた朝。
一、二週間ぶりに外に出た。
まだまだ低い太陽に、目を細めながら。
垂れてきたマフラーの端を、背中へと回す。
久々の肩の荷に、逆に心地よさを感じる。
手に持った紙袋には、十冊前後のある本が入っていた。
次々と追い抜く自転車。
徒歩の私は、それについていく事が出来ない。
やろうと思えばできるが、朝からそんな事はしない。
「おはよー。」
「今日から復活かぁ。」
追いつく一台の自転車。
私の為にスピードを落とす。
決して広くない歩道。
流れを思いっきり止めてしまう。
「そうだけど、邪魔になってるって。」
彼女は慌てて後ろを振り返る。
「ほんとだ。」
「すいませーん。」
私の後ろに、自転車から降りて歩き始めた。
なんとなく迷惑そうに、先頭の男子生徒はスピードを上げて追い抜いて行った。
その後も流れは途切れること無く、私たちを追い抜いて行く。
「はい、これ。」
「思ってたより面白かった。」
手に持った紙袋を差し出す。
彼女に借りていた本。
正確には漫画本。
「私も世界、したいなぁ。」
「でも、少しだけじゃない?」
「え、良くない?」
「誰が好き?」
「別に好きな人はいないって。」
日常的過ぎて、すぐに忘れてしまいそうな会話。
この二週間、どれほどこの時を待ちわびたか。
部屋にただ一人。
ずっと一人だった。
教室に入り、自分の机と向かった。
既に来ていた友達。
後から来た友達。
全員に共通していた事。
それは、会話の中に復活の二文字がある事。
「おー、おはよー。」
「今日から復活なんだ。」
「てか、あなた席そこじゃない。」
自転車少女とは違う。
また、別の友達。
「あれ?」
「席替えしたの?」
確かに、どこか変とは感じていた。
気のせいでは無かったのか。
「あっち、前から二番目の右から三番目。」
縦6、横6の36の席。
真ん中の前の方じゃん。
だいたい二か月間、ずっとこの席。
「うっわー。」
これは寝てたら怒られますわ。
「つぐみん、今日は月曜だよ?」
席を教えてくれた彼女が言った。
「あ、忘れてた。」
「少年誌の立ち読みとはねー。」
「いいの、性別は関係ないの。」
「名前は乙に心なのにね。」
「名前関係ないし!」
「少年誌ばっか読んでると、乙女心になれないよ。」
「いいもん、別にいいもん!」
まったりと朝の時間は過ぎていく。
暖房が強めに効いた部屋の中。
春の昼下がりのような、温かみ。
それはのんびりとしたような、気だるいような、そんな気持ちに変えていく。
しかし!
そのゆったりとした時間は長くは続かない!
ゆったりとした空気は、ある人物の登場により反転する!
身を切るような緊張の中、とてつもない強敵と遭遇することになる!
だが、この時の私は知る由もなかったのだ!




