第六話:恋をする少女と《壱の勇士》覚醒
文章をうまく書きたいのに…
それは圧倒的の一言だった。
銀色の閃光が通り過ぎるとそこには盗賊共の叫び声しか残らない。
「ぐほっ!」
「ぐばっ!」
向かってくる盗賊達を切り捨てる一人の美少女、その動きはとても軽やかで無駄のない動きだ。
戦闘中だというのに俺はそっちに意識を持ってかれる。
「んー…これは」
それから数分が経った俺はこの戦闘はかなり時間がかかるものだと思っていたのだが。
「…ふう」
終わってみればすごくあっさりとしていた。
おもいのよか銀の戦闘力が俺の予想以上に高く、ほぼ一人で盗賊を倒してしまったのだ。
「化物が…」
一人だけ残った偉そうな奴がそう言葉を洩らす。
「どうすんだよお前、この状況でまだやんのか?」
俺がそう聞くとそいつは叫びだす。
「ふざけんじゃねぇ!三日月さんの右腕であるこの六様が、諦めるはずがねぇだろうが!」
そう言うと六は俺に向かって突っ込んでくる。
だが、銀が俺の前に立ちそれを遮る。
「死ねーーー!!!」
六が剣を銀に目掛けて振り下ろす、しかし、それを難なく避ける。
「…遅い」
そのまま、胴体に攻撃を加えようと構えをとった時に俺は異変に気づく。
「ッ!銀、そこから離れろ!」
「!」
銀のいる場所に何者かの攻撃が飛んでくる。
銀は俺の声に反応し避けようとするが、肩を斬られる。
「…ッ!」
傷を押さえながら攻撃が飛んできた方へと視線をやる銀、俺も銀が目をやった方を見てみる。
そこにはこの場に現れて欲しく無い奴、三日月の姿があった。
「よぉ…東条…」
「み、三日月さん!」
三日月の登場に喜色満面の笑みを浮かべる六。
頭から血を流しながらも登場してきた奴に俺は言葉をかける。
「お前もシブトイ奴だな、三日月」
「東条…さっきの続きしようぜ…だがその前に…」
三日月がそう言った瞬間、傷を負った銀に向かって走る。
「お前は…邪魔だ」
そう言い銀に刃を向ける。それを何とか受け止める銀。
「…くっ」
肩を狙い連撃を繰り出し相手の攻める隙を与えない、銀は肩を庇いながらも必死に耐える。
しかし、三日月は傷の負った肩を狙い続けるついには。
「…あ」
その拮抗が破られ大きな隙ができてしまう。
「貰った!」
銀は斬られる寸前に思考が巡る。
こんなところで自分は死んでしまうのかと自分にはまだやりたいことがたくさんあるのに。
美味しいものだってまだ食べ足りない、それに人並みに恋というのもしたかった。
みんなには興味がなさそうにみられがちだが、本当はすごい憧れていた。
恋ってどういうものなんだろう、美味しいものを食べている時みたいに幸せになれるのかな。
そんな思いがこみ上げてくる。
三日月の剣が自分に迫りくる瞬間に目をつぶる、しかし、いくら待っても衝撃はやってこない目を開けるとそこには。
「ぐばぁが!」
奇声を出して、ぶっ飛んでいる三日月の姿とその三日月をぶっ飛ばしたとであろう少年の姿がそこにはあった。
「おい…てめぇの相手は俺だろうがよ」
凄みのある声を三日月に吐く、隣にいる自分を守ってくれたのだろうその姿は、とてもかっこよく銀の目には写ったのだった。
「…///」
熱い瞳で真緒を見つめる銀。
胸が熱くなっているのを銀は感じる。
こんな気持ちは生まれて初めてだった。
「大丈夫か銀」
そう言って自分に差し伸べてくる手を強く握り返す。
「…あの~銀?」
「…二度も…」
「えっ?」
微かに呟く銀の言葉が聞き取れず聞き直す俺。
「…二度も助けてくれた……ここもこんなにドキドキしてる///」
顔を赤く染めながらもさっきより大きな声で呟き、自分の心臓に手を当てる銀、そして、銀は自分を熱くさせている初めて感じるこの感情を真緒に伝える。
「…私…真緒…好きになった///」
「へ」
驚愕の一言の瞬間だった俺の右手が光りだす。
「なっ、刻印が!」
突然に刻印が光りだし驚いていると、銀が右手を押さえはじめる。
「…熱い…」
すると銀の右手も光りだす。この現象には見覚えがある。
「ま、まさかこれって!」
光りがやむと銀の右手にも刻印が刻まれていた。
しかし、その刻印は俺とは少し違うもので《壱》と刻まれている。
「刻印!」
俺は思い出していた。
自分が覚醒したときにこの刻印が出てきたことを、もし、この銀の右手に現れた刻印が《東国の王》に関係あるものだとしたら。
「銀が俺の《七勇士》の一人…」
ただの直感だ、でも俺は本能的にその考えに行きついたのだ。
そう何かが俺の頭にそれが答えだというように。
「…《七勇士》?」
銀に《七勇士》の話をしようとした時、後ろから怒鳴り声が発せられた。
「てめーら…俺のこと忘れんじゃねぇ!」
怒鳴り声のした先には三日月がいた。
頭や顔から血がものすごく流れている状態でなお立っていた。
「あ…忘れてた」
銀の告白や刻印などの方が重要すぎてすっかり三日月のことを忘れていた。
「忘れてた?…じゃあ思い出してやるよ!」
その俺の一言に今までの雰囲気が一変し冷静さを失う三日月。
激昂しながらが俺目掛けて突っ込んでくるのでそれを迎撃しようとすると、俺の前に銀が立つ。
「銀!」
「…もう負けない」
そして、こちらに振り向くと、銀は俺に向かってはにかんでこう言った。
「あなたは…私が守る///」
「///」
その照れた表情を見て俺の頬が紅潮するのがわかった。
銀は俺にその言葉を伝えると三日月の元へと走る。
「邪魔だああああああああああ」
三日月の鋭い斬撃が銀を襲う、しかし、銀はそれを軽く避けてみせる。
その動きはさっきよりも軽やかなものだった。
斬撃をよけられ驚愕する三日月。
「ば、馬鹿な!」
「…今の私にお前は勝てない」
「舐めるなああ!小娘がああ!」
馬鹿にされた三日月はさらに怒り狂う、その姿はもう前の面影が感じられない。
「すごいな…」
自分を失った者に勝利はない、爺ちゃんの言葉を思い出す。
もうこの戦いの結果は明らかだろう、三日月は怒りに任せ剣を振るうだけで、全て銀に見切られている。
すると三日月は叫ぶ。
「六!こいつを挟み撃ちにするぞ!」
自分の攻撃だけじゃ無理だと判断した三日月は挟み撃ちをするよう後ろに下がっていた六に命令をだす。
「へい!」
だがそれは無意味なことだ。
「死ねぇ!」
「終わりだぁー!」
二人が銀を囲い、剣を振り下ろすがそこにはもう銀の姿はない。
「き、消えただと!」
「どこだ!」
銀の姿を必死に探すが見つけられない。
「…秘剣…」
聞こえた声に二人が一斉に上を向く。
「上か!」
今更気づくがもう遅い、銀が下の二人目掛けて技を放つ。
「…《焔咲き》!!」
刀が無慈悲に振り下ろされ、二人の体は真っ二つに別れ、直後にその死体が燃え上がった。
これが東国に名を轟かせる盗賊団、三日月盗賊団の最期となる。
そして、この盗賊団を壊滅に追いやったのが二人の少年少女だという噂が東国中に流れるのをこの時、真緒は知り由もなかった。
次も見てくれたら幸いです。