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東国の王と七人の勇士  作者: スーパーファミコン
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第四話:三日月現る

 

 俺は今、とんでもないピンチに立たされているのだろうか、四方八方を五十人位の盗賊共に囲まれているこの状況、これは誰がどう見ても大ピンチである。


 だが、俺はこの状況をピンチだとは思えなかった。


(あーこの状況懐かしいなぁ、爺ちゃんとの修業でもこんなことあった気が…)


 爺ちゃんとの修業の日々を懐かしがっていると、盗賊の中の一番偉そうなのがが喋りはじめた。


「へッへッへ、てめーら二人しかいねーみてぇだな、なんだ?他の奴らに見捨てられたのかぁ?ヘッヘッへ」


 偉そうなのが俺達を馬鹿にすると、他の盗賊達も大声で笑いだした。


 すると俺の隣にいる傷だらけの男が叫びだす。

「おめーらなんかに村を襲わせねぇぞ!村は俺が守る!」


 それを聞いた盗賊達は、一瞬ポカンとするとさらに大声で笑いはじめた。


「な、何がおかしい!」


「おかしいに決まってんだろ!ダッハッハ、腹が痛ぇぜ、てめぇみたいに傷だらけの奴に何ができんだよ!」


「クッ」


「まあいい、テメーらをさっさとぶっ殺して、他の奴らを探し出し、金品と若い女でも奪っちゃいますかねぇ!」


 そう言いリーダーらしき奴が剣を抜刀すると、それを合図に他の盗賊達も抜刀する。ジリジリと俺達へと距離をつめてくる。


「死にやがれーー!」


 盗賊の一人がそう叫びながら傷だらけの男を目がけて斬りかかってきた。


「クッ…華…スマン…」


 男が死期を悟ったように妻らしき人の名前を呼び、目を閉じる。


ズバッ


 鮮血が飛び散る、だがそれは男のものではなく。


「ギャーーーーーーーーー!」


 斬りかかってきた盗賊が血だらけの手首を押さえながら地面を転げまわる、自分が斬られたと思っていた男は自分が死んでないのを驚いている。


「てめーー!何しやがる」


 リーダーらしき奴は俺に向かって怒鳴りつけてきた、男は呆然と俺のほうを見ている。


「あ、あんた…」


 俺は守るように男の前に立ち男に話しかける。


「そういやあんた、名前なんて言うんだ?」


 急に名前を聞かれた男は最初は何を言われたのかわからず呆然としていたが、すぐに気づき答える男。


「た、泰三だ」


「そうか、じゃあ泰三のおっちゃん、少し退いててくれ…こいつらぶっ倒すからさ」


 そう言い俺は泰三のおっちゃんを退かせると、盗賊のリーダーらしき奴はキレたように俺に怒鳴りつけてきた。


「この糞ガキがーー!なめやがって!お前一人だけでこの人数を相手にできると思ってんのか!てめー!!」


「だからそう言ってるんだろ、お前馬鹿か?」


 俺はわかりやすく挑発をしてみた。その挑発を聞き、そいつはさらにぶちギレる。


「テメエらーーー!そいつをぶち殺せーーーーーーー!!!」


 リーダーらしき奴は部下たちに俺を殺すように命令する。それに応え、盗賊共が動きだす。


 うおーーーー!!!


 雄たけびを上げながら五十人近くいる盗賊共が、その手に剣を光らせながら俺に向かって押し寄せてくる。だが、俺は実に落ち着いた気持ちで腰元にある《漆黒丸》に手をかける。


 「さてと…盗賊共、覚悟しやがれよ」


 俺は向かってきた盗賊共の中に飛び込む、飛び込んできた俺に驚きながらも盗賊が斬りかかってくる。がそれを難なく避けて進む。


「こ、こいつ、速いぞ!」


「へッ、確かに速いが、ただ速いだけじゃねーかよ!てめーら何してる、そいつの動くスペースをなくせ!」


「「うおー」」


 俺の速さに翻弄されていた盗賊共だったが、リーダーらしき奴の言葉を聞き俺の動く範囲を狭めてくる。だんだんと俺の動ける範囲が狭まっていく。


「へえ、盗賊の割には頭が働くんだな、だけど…」


 俺は関心しながら動きを止めた。動きが止まったの好機と思い一斉に斬りかかってくる。


「俺もただ動きまわってたわけじゃない…東条流・陸ノ太刀《鉄砕》!」


 すると、盗賊共の剣が粉々に砕け散った。《鉄砕》は爺ちゃんに習った十個ある剣技の一つであり、その名の通り鉄をも砕く技である。俺はこの技を動きまわりながら盗賊全員の剣に当てたのだ、これを食らい盗賊共は一気に後ずさりをし始めった。


「い、いきなり剣が砕けやがった!」


「こいつなにしやがったんだ!」


 うろたえだす盗賊共、俺はもうちょっとビビらす為に《漆黒丸》をそいつらに向けて脅しをかけてみる。


「…次はお前らの頭をぶっ壊す!」


「「ヒイッ」」


 少しドスのきいた言葉を言い放つと、盗賊共の顔が一気に青色に染まった。何人かビビりすぎて尻もちをついている奴らまでいる。さっきまで強気だったリーダーらしき奴も顔中に汗をかきはじめた。


(これだけ脅せばこいつらも逃げ出すかな)


 と《漆黒丸》を腰に戻そうとした次の瞬間に盗賊共の後ろからとんでもない殺気が発せられた。


「ッ!!」


 その殺気に反応して俺は咄嗟に戦闘態勢に入る。するとその殺気の正体が声をあげる。


「おいおい…俺抜きで何楽しいことしてんだよ」


 盗賊共の後ろから現れたのは、髪を無造作に伸ばした長身の男が一人、だが、その男から発せられる殺気は尋常じゃないレベルだ。俺がそいつを観察してると、そいつは俺のことを見て小さな声で呟く。


「お前…強そうだな…」


 ニィと不気味な笑顔を見せるそいつに、少し得体の知れない何かを俺は感じ取っていた。


「あんた…何者だ?」


「おっと…これは失礼、俺は三日月春雷って名前だ」


 得体の知れないそいつは三日月春雷というらしい、さっき泰三のおっちゃんが話してた奴、確か盗賊達の頭の名前だ。


「あんたがこの盗賊達の頭か」


「ああ…そうだが」


「この村から手を引け」


 殺気を込めた言葉をそいつにぶつけるが、大して効いていない。


「んー…いいねぇ、その殺気…おーい六!」


「へ、へい!」



 俺の殺気を浴びて畏縮していた。さっきまで偉そうにしていた男に三日月が声をかける。


「俺はコイツと殺りあう…お前ら先に行って襲ってろ」


「わ、わかりやした、てめーら行くぞ!」


「「へ、へい」」


 三日月の命令を聞き、男が他の盗賊達を連れ動きだす。


「行かせねぇ!」


それを阻止しよう動くが三日月にそれを阻止される。


「おっと…俺を無視しないでくれよ…」


「チッ、邪魔くせぇ!」


 俺が三日月に足止めされてる間に盗賊共が村人が避難した方へと向かって行った。このままじゃ盗賊共に村人たちが襲われてしまう、俺は泰三のおっちゃんに叫ぶ。


「おっちゃん!先に行って村人たちを違う場所へ逃がしてやってくれ!」


「わ、わかった、任せろ!」


 そう言うとおっちゃんは駆けていった。おっちゃんはこの村に住んでて村の道に詳しい、きっと先回りして盗賊のこと村人たちに知らさせてくれるはずだ。


 盗賊共もおっちゃんもいなくなり、俺とこいつの二人きりになる。


「やっと…殺りあえるな…小僧…」


「小僧じゃねぇよ」


 盗賊共が向かった場所に急いで俺も向かわければならない、その為には。


「東条真緒だ、あんたを倒す奴の名前…よーく覚えとけ!」


 こいつを速攻でぶっ飛ばすことだ。




次も読んでくれたら幸いです。

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