出会い
「君は何者?」
僕?
僕は………………………誰だろう
わからない。
なんで僕ここにいるの?
この人は誰?
なにもわからない。
わからないよ。
「甘味♪甘味♪」
京の町をルンルン気分で歩いているが一人いた。
中性的な綺麗な顔に長い髪を一纏めに頭の上の方で束ねている細身の姿は一見女に見えるが、その姿に似合わない腰にある大小の刀がこの者が男であることを教えてくれる。
彼の名は沖田総司。
新撰組で一、二を争う剣士だ。
沖田は今日、非番で甘味処へ向かっていた。
「みたらし♪餡蜜♪おー汁粉♪」
沖田は甘味の歌?を歌いながら、ニコニコ歩き甘味処につき、席に座った。
「あら、沖田はん、いらっしゃい。今日は何にしはります?」
暫くすると甘味処の奥さんが注文を取りに来た。
「みたらし団子を20本と餡蜜を3、お汁粉を一杯!」
「はは……相変わらずたくさん食べるんやね;」
「えーこれでもすくないほうですよー」
この沖田、甘味をこよなく愛す現代で超甘党で食べる量が半端がない。
一体その細い体のどこにそんな量が入るのか不思議すぎる。
「少し待っててもらってもええ?」
奥さんが周りを見回しながら、申し訳なさそうにいった。
周りは昼過ぎの少し小腹が空く時間帯のためか結構な量の客が座っている。
この状況で今の沖田の注文を作るのは大変そうだ。
「大丈夫ですよ。」
沖田はニコリと笑い、先に出されたお茶を飲み待つことにした。
――――――――――――
「すんまへんなぁ。お待たせしました」
周りが静かになり始めた頃、沖田のところに甘味がやってきた。
「大丈夫ですよ♪………ん?」
机の上には沖田が頼んだもの以外にも饅頭と葛餅があった。
「あっそれは待たせたお詫び♪遠慮せず食べてな。」
「わーい♪ありがとうございます!」
沖田は奥さんにお礼をいい、パクパクと甘味を食べ始めた。
「ん~美味しい♪」
「ほんと、沖田はんは美味しそうに食べてくれるん、頑張って作った甲斐あるわぁ」
「だって本当に美味しいんですもん♪」
そうこうしている間に沖田の前には空の皿だけになった。
「ご馳走様でした!」
そういい、沖田に奥さんお金を渡し、甘味処をあとにしようとした。
「あっ沖田はん!!」
すると奥さんが沖田に話しかけてきた。
「さっきなお客さんの中でな、川原に人が倒れてるいってたんよ。」
「人が?」
「でな?その人の格好が妙だったらしいんよ。なんか異人みたいで。」
「ありがとうございます。では帰りに見てみますね?」
沖田はもう一度奥さんにお礼を言ってから、川原に足を運んでいった。
―――――――――
川原
川原につくと、人が全然いなく川の流れの音だけが響いていた。
(なにもなさそうだけどなぁ……)
沖田はそう思いながら、一応川沿いに歩いていくことにした。
暫くすると、何処からか血の臭いがしてきた。
「こっち?」
沖田は血の臭いがするほうへ歩いていった。すると、川岸のところに奇妙な服をきた人が横向きに倒れていた。
(あれかな?)
沖田はその者に近づいてった。
近づくにつれ、血の臭いが濃くなっていく。
その者のすぐ横につくと、その者の血の臭いだったと言うことが分かった。
奇妙な服は所々破け、そこには血が滲んでいる。
僅かに息遣いが聞こえるから生きてはいるのだろう。
「大丈夫ですか?」
沖田はその人の顔の方にいき声をかけた。
「!!」
沖田は驚いた。
なぜなら、その倒れているものがこの世の思えないほどの美しい顔をしていたからだ。
「うっ…………」
ハッ
暫くその顔に見とれていた沖田だったが、呻き声をきき、我に帰った。
美しい顔をする者は先程より息苦しそうにしている。
(とりあえず……屯所に連れ帰ろう)
沖田はそう思い、抱き上げ屯所に連れ帰っていた。