金髪ツインテドリルお嬢様、豚の餌処「ネクストLow」にて堕つ!~底辺の脂に溺れて~
鳳凰院アンジェリカ。
日本経済を裏から牛耳ると噂される鳳凰院財閥の至宝にして、黄金の天使。
そんな彼女が特注の最高級ドレスと高貴さを纏い、街を我が物顔で散策している時のことだった。
「……なんですの、この掃き溜めのような行列は?」
アンジェリカは、ご自慢のドリルのように巻かれたツインテールを揺らし、黄色い看板を見上げた。
看板には無骨なフォントで『ネクストLow』と書かれている。
漂ってくるのは、美しく澄んだコンソメの香りではない。
鼻腔を力ずくでこじ開けるような、暴力的なニンニクと、煮込まれすぎた獣の脂の臭気。
嗚呼、なるほど。ここが…。
風の噂で聞いたことがある。たしか、庶民に愛される豚の餌を提供する店があるとか…。
「更なる高み(High)を目指す我が鳳凰院家として、社会の底辺(Low)を知る必要がありますわね。 ……さあ、庶民の豚さんたちが愛する餌とやら、わたくしが直々に毒見して差し上げますわ!」
アンジェリカは優雅に店内に足を踏み入れた。
券売機の前で立ち尽くす彼女の目に飛び込んできたのは、『小』という控えめな一文字。
「あら、わたくしのような少食な淑女を気遣うとは、大変殊勝な心がけですこと。 よろしい、その一番小さな『小』をいただこうじゃありませんか」
それが、彼女が踏み抜いた最初の地雷であった。
カウンターに座ると、隣の男たちが「ギルティ」だの「完飲」だのと、不穏な隠語を呟きながら、狂ったように極太の麺を啜っている。
やがて、眼光の鋭い店主が、アンジェリカの前に立ちはだかる。
「……ニンニク入れますか?」
アンジェリカは余裕の笑みを浮かべる。
「ええ、当然ですわ。 社交界においてニンニクの香りは……いえ、今は無礼講です。 それと、そこの『アブラ・マシマシ』という言葉、響きが可愛らしくてよ。 それも追加してくださる?」
一瞬、店内の空気が凍り付いた。
隣の男が、憐れみの視線をアンジェリカに送る。
それが何を意味するのか…、今の彼女は知る由もなかった。
「……お待ち」
ドスン。
目の前に置かれたのは、もはや料理ではなかった。
それは、まさに――― 暴。
肉と脂にまみれたもやしの塊。
「な、……な、なんですの、この……この、冒涜的なまでの質量は……っ!?」
震える箸で、標高二十センチの野菜の山を崩そうとする。
その瞬間、事件は起きた。
前のめりになった拍子に、アンジェリカのアイデンティティたる「金髪ツインテドリル」の先端が背脂の濁流へ突き刺さったのである。
「あ、ああっ・・・! わたくしの髪が、下層(Low)の脂でベトベトに……っ!!」
引き抜いたドリルの先からは、ドロリとした褐色のスープが滴っている。
丹念に手入れされた黄金の髪の輝きは、もはや見る影もない。
本来ならここで立ち去るべきだった。だが、脳を直接殴打するようなニンニクの香りが、彼女の理性を、財閥の教育を、根底から破壊していく。
「……っ、毒食らわば皿までですわ! 覚悟なさい、ネクストLow!」
アンジェリカは自慢のドリルを脂でコーティングしたまま、一心不乱に麺を啜り始めた。
――否、溺れた。
その圧倒的脂の海に。
小麦の暴力。カエシの衝撃。
「おいひい……。 なんという、甘美で……野蛮な味かしら……っ! なんらかの法に触れているのではなくてっ!?」
「……認めますわ。 ええ、認めればよろしいんでしょう!?」
「今のわたくしは、気高き鳳凰などではありません! この極上の『餌』を欲してやまない、卑しい、卑しい……ただの一匹の子豚ですわーっ!!」
十五分後。
店を出たアンジェリカの姿に、かつての気品はなかった。
オーダーメイドのドレスは脂の飛沫で汚れ、ウエストのボタンは無残に弾け飛び、自慢のツインテドリルは脂の重みで解け、泥に濡れた犬の尻尾のように力なく垂れ下がっている。
「うぷっ…お、お腹がはち切れそうですわ…」
「――でも……明日も。 明日もわたくし、ここに来なくてはならない気がしますわ……」
口元にニンニクの破片を付けたまま、アンジェリカは夕陽に向かって敗北の吐息を漏らすのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
鳳凰院財閥の誇りを背脂に溶かしたアンジェリカ様の明日は、果たして……。
「お嬢様、ギルティですわ!」「ボタン弾け飛んでますわよ!」と思ってくださった皆様。
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本作はAIちゃんとの共同執筆により、脂マシマシの構成でお送りいたしました。




