第二十話:Sランクパーティー激突!塔上の三つ巴
第一節:闇の円卓、総力戦の予兆
セレスの研究室での最終試練から数時間後、塔の周囲の魔力は一変していた。以前の刺客の魔力とは比べ物にならない、三つの異なる、強烈な闇の魔力が、フォルトナの街全体を包み込み始めていた。
レンの解析台に、待望の、そして最悪のデータが表示された。
情報解析: 五星陣の襲来: 同時進行型・総力戦。 構成:
ザック(影の追跡者): 物理・闇属性。
グリム(虚空の魔術師): 空間・幻影特化。
未確認刺客(影の円卓): 【重力支配】・【剛体】特化。
「三体同時だわ!」セレスが警戒を強めた。「しかも、三体目は重力操作を使う!レンの【情報支配】の能力と競合する可能性が高い!」
レンは冷静にアリスとリリアナに指示を出した。
「リリアナは、ザックの物理攻撃を引きつけてください。アリスは、グリムの魔法を光の力で無力化。私は【情報支配】で、重力を使う第三の刺客を無力化します!」
リーナは魔力増幅装置に張り付いた。「セレスさん! 増幅装置の出力、最大で維持します!」
第二節:塔に降り立つ「白銀の流星」
レンたちが迎撃の準備を整えたその瞬間、塔の外壁を突き破るような、強烈な神聖な光と金属の衝突音が響き渡った。
セレスの研究室の壁が、神聖魔法の力を帯びた大剣の一撃で破壊され、Sランクパーティー「白銀の流星」のリーダー、クライヴ・ベルンシュタインが、銀色の全身鎧を纏い、降り立った。彼の隣には、武闘家のガゼルが続く。
「セレス! いい加減にしろ! お前の私的な実験のせいで、街全体が闇の魔力に包まれ始めたぞ!」クライヴは怒りに満ちた声で叫んだ。
クライヴは、レンたちの異様な布陣を一瞥した。Fランクの少年、Bランクの剣士、見知らぬレベル100の勇者。
「リリアナ、貴様もだ! この狂った状況からすぐに離れろ! ここはギルドの管轄外だ!」
アリスは、クライヴの圧倒的なレベルと魔力に警戒心を抱いた。
「待って! あなたたちは誰? 私たちはこの塔とレンさんを守っているのよ!」
「我々はSランクパーティー、『白銀の流星』! この街の秩序を守る者だ!」クライヴは、闇の円卓の襲撃よりも、セレスの暴走を優先した。
第三節:三つ巴の激突
クライヴがセレスに詰め寄ろうとした、その時だった。
塔の防衛障壁の破壊音が響き、三体の闇の魔力体が、三つの異なる方向から、一瞬にして研究室に突入してきた。
「五星陣、総力戦を開始する!」
ザック(影の追跡者): 闇の双影鎌で、最も手薄に見えるクライヴとガゼルへ突撃!
グリム(虚空の魔術師): 幻影を撒き散らし、セレスの増幅装置を破壊しようと魔法を放つ!
未確認刺客(影の重力使い): レン目掛けて、強烈な「重力場」を発生させ、動きを封じようとする!
戦場は一瞬で、レンチーム、五星陣、そして白銀の流星が入り乱れる「三つ巴の総力戦」へと変貌した。
クライヴは、闇の帝王の手下となったザックの凄まじい物理攻撃に驚愕した。
「馬鹿な! この闇の力...Dランクだったはずのザックだと!? 闇の帝王、貴様、何をした!」
レンは、自分を押し潰そうとする重力場の中で、極限の演算を開始した。
「【情報支配】と【瞬間身体最適化】を同時展開! 私のINTが、この重力場を書き換える!」
アリスは聖剣を振るい、グリムの幻影を浄化し、リリアナは**『心眼』**でザックの動きの予兆を読み取り、クライヴとの戦闘を援護した。
Sランクの聖騎士が加わったことで、戦力は増したが、混乱は極限に達していた。レンの配信は、次元の壁を超えた、この壮絶な戦いの全てを、地球の視聴者へ届け続けていた。
最悪だ。全てが最悪だ。
セレスの私的な実験のせいで、街にこんな大惨事が引き起こされた! そして、我々Sランクパーティーが、闇の帝王の手下と、セレスの狂った実験チームと、三つ巴で戦う羽目になるとは!
あの闇の力。間違いなく、ザックだった。あの憎しみに満ちた瞳。あれは、単なる魔物の力ではない、魂を汚された人間の闇だ。
そして、あのFランクの少年、レン。彼の周りで発生している「重力の歪み」は何だ! 彼は魔力どころか、世界の法則そのものを捻じ曲げている!
レベル100の勇者アリスの神聖な力は本物だが、彼女はセレスに味方している。
私は秩序を守らねばならない。この塔の狂気を制圧し、五星陣を討伐し、この街の平和を取り戻す。
レン、セレス。貴様たちの狂気は許さない。だが、まずは目の前の闇を討つ。
クライヴ・ベルンシュタイン (Sランク聖騎士・秩序の守護者)




