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始まりのダンジョン配信者  作者: 沼口ちるの


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第十九話:Sランク大魔導師の試練:仮想五星陣戦

第一節:フィリスの特訓の終焉

フィリスの道場での特訓から数日後、レンとアリスはセレスの塔へと帰還した。アリスは【神聖剣術】にフィリスの【心眼】と【体軸操作】を融合させ、その戦闘効率は格段に向上していた。レンは、新たに覚醒させた【情報支配】の制御に苦戦していたが、疲労を代償に『情報による物理操作』の片鱗を掴んでいた。


道場の片隅で、フィリスはリリアナとリーナに、最後の助言を与えていた。


「リリアナ、お前の剣はもう『人知の極み』にある。あとは、その残心をいかに長く、鋭く保てるかだ」


「リーナ、お前の魔導具は、常識を無視した戦い(レンとアリス)を支える唯一の生命線だ。『過負荷』と『瞬発力』のバランスを極めろ」


フィリスはレンとアリスを一瞥し、静かに言った。「武の極意は伝えた。この先は、お前たち自身の『意図』と、レンの『情報』が世界を動かす」


フィリスは道場を出て、再び街の平和な武道家へと戻っていった。


第二節:セレスの最終検証

塔の最上階。セレスは研究室の解析台から立ち上がり、全員を前に告げた。


「これで、貴方たちの『人としての極限』は確認できたわね。素晴らしいデータだわ、フィリスに感謝するわ」


セレスは、自身の開発した【次元魔力共鳴増幅装置】の隣に設置された、巨大な三つの魔力発生装置を指さした。


「闇の円卓の『五星陣』は、次の攻撃で、総力戦を仕掛けてくるでしょう。そこで、私が開発したこの装置を使い、『五星陣(ザック、グリム、そして未確認の第三の刺客)』を想定した、仮想実戦試練を行う」


セレスは不敵に笑った。


「私のシミュレートは、本物の命の危機を感じさせるほどの精度よ。これは、貴方たちが私の『情報』を使いこなせるかどうかの、最終検証だわ」


レン(情報源): 解析台から、セレスの魔力を通して、仮想敵の行動パターンを瞬時に解析する。 アリス(光の矛): ザックの物理的な突進とグリムの幻影魔法を、同時に処理する。 リリアナ(人の剣): 仮想敵の心眼を欺き、隙を作る。


セレスが装置を起動させると、研究室全体が魔力的な歪みに包まれた。三つの巨大な魔力体が、五星陣の各刺客の特徴を再現して出現した。


第三節:シミュレーション・ブレイク

仮想のザックは、闇の双影鎌を振り上げ、リリアナ目掛けて突進した。仮想のグリムは、空間を歪ませ、アリスの死角へ闇の魔弾を生成した。


リリアナは、フィリスの教えの通り、魔力を抑え、『心眼』でザックの突進の予兆を捉えた。彼女は、最小の動きで斬撃を回避し、ザックの足場を崩す体捌きを入れた。


その瞬間、レンの脳内から情報が溢れ出した。


レンの解析: 仮想ザックの攻撃はフェイント! 本命は、グリムの魔弾を回避したリリアナの停止位置を狙う、第三の仮想敵(未確認)の不可視の連撃!


レンは、実戦の恐怖と、膨大な情報量に再び追い詰められた。


「リリアナ、後ろの不可視の連撃を避けろ! 【情報支配】発動!」


レンは【情報支配】を発動させ、視聴者からの熱狂的な魔力を、リリアナの後方の空間の『時間軸』に作用させた。リリアナの後方、第三の仮想敵が出現するはずの空間が、一瞬だけ『時間の減速』を起こした。


リリアナはその『違和感』を察知し、極限の『残心』をもって、既に回避不能なはずの連撃を回避した。


アリスは、レンが作り出した一瞬の『重力操作の隙』を利用し、仮想グリムの魔力の源流へ向けて聖剣を突き立てた。


バチィン!


三体の仮想敵は、レン、アリス、リリアナの連携により、同時に消滅した。


セレスは、自身の研究室の隅にいるリーナに目を向けた。リーナは、アリスの【心眼】とレンの【情報支配】の過負荷を計算し、『魔力増幅装置』の電力分配をミリ秒単位で制御していた。


「素晴らしいわ...。私の用意した命を奪うシミュレーションを、貴方たちは完全に『情報』で凌駕した」


セレスは、レンの持つユニークスキルが、単なる魔力供給源ではなく、『世界の情報そのものを掌握する力』であることを確信した。


「これで、準備は整ったわ。貴方たちなら、五星陣の総力戦に勝利できる。さあ、レン。あなたの『情報』を世界に解き放ちなさい」


レンの配信は、次元を超えた最強チームの誕生を、全世界の視聴者に告げたのだった。


最高よ。この実験結果は、私がこれまでの人生で手に入れたどの魔導書の知識よりも価値がある。


あのFランクの少年、レン。彼のINT極振りは、もはやステータスの枠を超えている。彼は『情報そのもの』を、この世界の物理法則に変換し始めた。まるで、この世界を構成するソースコードに直接干渉しているようだわ。


勇者アリスの純粋な光の魔力と、リリアナの極限まで最適化された肉体、そしてリーナの精密な魔導具制御。これら全てが、レンという『次元の情報源』によって完璧に結びついている。


私のシミュレーションは、五星陣の総力戦における最も致死的な状況を再現したつもりだった。あの仮想ザックのフェイントと、第三の刺客の不可視の連撃は、Sランクパーティーでも回避は困難なはずだった。


だが、レンの【情報支配】による『時間軸の操作』は、私の予測を超えた。彼は、視聴者の熱狂を『現実改変のリソース』として使った。


これで、五星陣は我々の想定外の戦力となった。闇の帝王が何を仕掛けてこようと、レンの無限の情報と、私の増幅装置、そしてこの最強のチームがあれば、必ず打ち破れる。


さあ、五星陣。あなたの持つ『闇の真実』を、私の研究のために全て曝け出しなさい。このSランク大魔導師が、あなたたちを待っているわ。


セレス・リーゼロッテ (Sランク大魔導師・次元の支配者を目指す者)



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