冬の始まり ②
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あいつは少し風変わりだった
おいっ お前はどーだったよ
俺っ? まじ無理だったぜぇ~~
無理してきちゃったって感じだわ w
ケラケラ笑う
ー ー ー あいつは なんか苦手だ
へらへらと自分の出来の悪さをネタに他とのコミュニケーションを取る
「 なぁ 次のテスト前にはポイントを教えろよなぁ 」
「 お前に理解できるならなw 」
おぉ~い!! ばっかにしやがってこのやろ~!!
自然と少しずつ増えていくあいつへの賛同者
あいつが『ダメな部分』を見せるたびに増えていく輪
席次では下から数える方が早い
それなのに少しずつ『あいつ』と交わす声の数が、
あいつが交わすたびに明るい声が校舎に響く
目立つ奴だ 気が付けば自然と耳があいつを追う
なぁ! 何が好きっ?!
うっへぇ バッタがお好みかよ w
え? 環境問題ぃ? むずくてよくわっかんねぇよ w
なぁ! 醤油バター味がするバッタがいんなら教えろよぉ w
バタバタ走り回ったり、 ふざけあったり、
あいつはいつも陽気だ
10分の休憩時間、
授業の合間のこの10分間
『誰かにとっては短く』 『誰かにとっては非常に長い』 そんな時間
俺はいつものように支給された教科書を見つめる
そんな作業中、いつものように耳が追ってしまう
おぉい よぉ~んB! もしよ、 宇宙人がいるとしたらさ
タコ派? イカ派?
俺はタコ派かな なんか知らねーけどめっちゃあったまいいらしーじゃん!
おぉい 4Bっ! なぁんでいっつも鉛筆舐めてんだよぉ w
無視すんな こらっ
w 不覚にも少し笑ってしまった
あいつのセンスはちょっとだけ好きかな
俺も内心あいつを『4B』って呼んでいた
あいつが目ざとく俺に気づく
w おぉいっ! あのまっつんもツボったってよ!
まっつん 爆笑じゃねぇかよw
ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ
いらつくように、鬱憤を晴らすかのように4Bを激しく舐める4B
あいつも、 あいつの周りも、 俺も笑ってしまった
? おれ、 いつぶりだろ こんなに笑ったの、、、
俺は『意地』を振り絞るように『いつも』の俺に戻る
ー ー ー あいつは あーゆーのはなんか苦手だったはずなんだ
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こらっ! 静かにっ!
体育の先生が言う
ペアを組めっ これからペアでこれに取り組んでもらうっ!
ほんっとに 空気を読めないやつだ
『ペア』を組めないやつはどうしたらいいだよ、、、
なぁ
俺と組まねぇ ?
苦手なあいつが あっけらんかと声をかけてくれる
なぁ~ああっ、 俺と組めよぉ
ま~~~じ、 俺と組むやついね~んだわ w
みんな 単位狙いすぎだろっ?
俺らCOOL同士はよ! どっかりかまえんのが『ボス』感出してていいじゃん!!
、、、 はぁ
気分が悪いふりをするばればれのボッチはつらい
仕方なくペアを組む
ー ー ー 俺は優秀なんだよ
俺はお前と違って 優秀なんだ、、、
ー ー ー 俺は、、、
陰鬱な気分に浸る間もなく、
遠投、シャトルラン、短距離走、、、 次々記録に迫るこいつ
なんなんだよこいつ