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冬の始まり ①

楽勝


これが感想だ

いつだってママが事前に『攻略』する方法を教えてくれた

勧められた塾に行き、押し込まれる情報の基本を頭に入れる

いくつか応用問題をこなして中身を固めればどんな問題も楽勝だ



受験?



なんでそんなにみんなバタバタしてんの?

当たり前にみんなも『やってること』だろ?








『教えられた通り』クリアすればいいだけじゃん








幼稚園から小学生へ、


小学生から中学生へ、


中学生から高校生へ、、、







ー ー ー  当たり前にエスカレートしてきた







そいて四月、  俺はなんなく志望校へ受かった

当たり前のように校門をくぐる


特殊技能育成専門の国立高校だ  かなり給料がいい







そう、      エリート街道だ







ま、  これからも当たり前に、  いつものようにやるさ


適当にやっててもさ、  勝手に上がんだろーな







まじ楽勝じゃん







$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$$







そして、初日から、、、   たった初日から『落いてけぼり』を食らった




ばかみたいに進む授業


『こんなことわかってんだろ?』 が、  当たり前にどんどん進む




、、、  うっそだろ




ママからほだされ、 あんまし気乗りはしなかったものの、

勧められるがままに進んできた順調すぎた道

順調すぎたが故にひどく戸惑う、、、  入学1発目にしてはむずすぎだ


学校のテストだって、  塾の成績だっていつだって高得点だったのに




、、、  うっそだろ














ぺろっ  ぺろぺろぺろっ


他の奴はどんな反応なのか『自身』との比較対象を探す

わけのわからない問題と遭遇した時は『既知との比較』により

解を見出せることもままあることだ


これは学校側の『無理難題』に対し、新入生がどう対処するターンなのか、

『よりエリートを選別する』ターンなのか、

それを見極めるために周囲を探る


ぺろっ  ぺろぺろぺろっ


横で熱心に鉛筆にご奉仕をするこいつを観察する

一応この学校の『合格者』だ  しかもこれ見よがしに鉛筆を舐めている

こんな所作をするやつは経験上、最低でも『それなり以上j』だ


もしこいつの頭が悪かったら俺の『目利き』に修正をかける必要があるし、

こいつは『見かけ倒し』だと、

または『こんなやつですら解けない難問をかけられている』と、

つまり『解けなくても一応は問題ない』と判断できる


『当たり前』に解けることなのか

『勉強』に全振りしてきた人生であろうこいつでもダメなのか


カンニングと思われないよう注意深く鉛筆野郎をちらちら観察する




試験官が無線機からの着信を得たのか、教室を出て何かを話している


その隙に、俺は自慢の処世術の1つであるコミュ力を武器に、隣に奴に話しかける

塾だろうが新学期だろうが、  いつだって『始まる』時に行われる学力テスト

こういう時に会話ができる瞬間があれば『普通』は会話を選択するものだ



な  なぁ、  この問題さ  なかなか難しくね?


俺が通ってたとこじゃこんなの習わなかったぜ?



わざと手の内を見せ、『同意』を誘う

このぺろ眼鏡はどう反応するのか、、、

漏らす表情の欠片を逃さないよう、『能天気』を装いつつ声を掛ける








ぺろっ、、、    イラッ    ふんっ  ぺろぺろぺろぺろぺろぺろっ


不機嫌を隠そうともせずに、集中力を取り戻すように4Bをペロつく隣のメガネ

まじかよ、、、  こんなコミュ障が同じステージなのかよ、、、








今までの『自分の在り方』が不安になる

がちのエリート学校じゃん


少しずつ、  だが明確に心に陰を落とす




過去に学んできた基本、  情報を元に、  素早く設問に取り組む

その時だ










まっじ  むっず~~~~










『テスト』という絶対空間に響く 『間の抜けた』   声


お前の顔は覚えたぞ  そう言わんばかりに教師がやつを見据える


カリカリカリカリっ、、、   視線は合わさないが空気が止まる

そしてまた音が始まる









先生~、  これ、  まじ無理っすよぉ

シャープなペンシルを使って消しゴムダーツを始めだす


ここに入学したのはその辺の普通校と違い、所謂『エリート』だ

特待生として、  優秀な逸材として入校したくせに、簡単に匙を投げる









ー ー ー これが     あいつとの出会いだ

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