小説執筆歴4ヶ月で書籍化打診が来た人の記録
注意:ランキング、ポイント、ブックマークといった数字が苦手な方はブラウザバック推奨です。
エッセイは他人の感情を逆撫でするようなタイトルが良いかと思い、あえて偽悪的につけてみました。
ただ、タイトルにウソ偽りはなく、私の誇張なしの実体験です。
エッセイジャンルでは初めまして。
私、マイヨと申す者です。
主に現実世界恋愛の作品を書いており、この度、某出版社様から拾い上げにて、『U−15サッカー日本代表だけど部活は幼馴染と一緒の文芸部です』(以下、「U−15サッカー」と呼称します)が書籍化する運びとなりました。
2022年の8月から処女作の投稿を開始してなろうデビューし、連載3作目であるU−15サッカーを同年11月に投稿、同年12月に書籍化打診を受けました。
私の小説執筆歴はイコールなろう投稿歴です。
故に、処女作を8月に書き始めて、12月に書籍化打診を受けたので、その時点での執筆歴は4ヶ月となります。
うん。こうやって切り出して書いてみると、我ながら順風満帆もいい所ですね。
長年苦労して書籍化に辿り着いた方のお話や、大逆転劇の方がきっと読者様方のウケは良いのでしょうが、こういったドリームもなろうにはあるんだよという事を書き記しておくのも、ケーススタディとしては有効だと思うので、この感じ悪いノリのまま続けます。
そもそも私は、小説家になろうなんて夢は、幼少期から成人になるにかけて一度も抱いたことがありませんでした。
なろうに自身の書いたお話を投稿したのは、なろう読者の何割かが罹患する、自分も書いてみちゃおうかな病に私も罹患したが故です。
なろうは処女作の投稿を始める前日にID登録をしました。
SNSはアカウントすら持っていません。
正真正銘、何の後ろ盾も宣伝もする機会が無い状態から、私の小説投稿は始まりました。
私の処女作は、野球の甲子園を舞台にしたラブコメです。
『私を甲子園に連れてってで人生変わりました』という作品です。(以下、「甲子園」と呼称します)
「甲子園開催時期に甲子園物の話を書いてみたら面白いんじゃないか」
そんな思いつきから、書いてみた20話程度の中編の作品です。
8月の初旬から投稿を開始したのですが、甲子園はお話が前半を折り返す頃でも、評価ポイントもブックマークも感想も何も入りませんでした。
「ま、現実なんてこんなもんだよな」
と思いつつ投稿を続けていると、とあるタイミングでポイントがポンッ! と30ポイントほど一気に入りました。(とあるタイミングについては後述します)
現実世界恋愛の日間ランキングでは、30ポイントほどで日間ランキングにギリギリ滑り込めます。
この時は、自分が読む際に眺めていたランキングに自分の作品が載るという事実に、飛び跳ねて喜びました。
そして、指数関数的にPVとポイント、ランキングが上がっていきました。
ちょうど完結ブーストも重なり、最終的に処女作の甲子園はジャンル日間8位まで行きました。
最高で1日のPVが2万、日間ポイントが500ポイントくらいです。
ズブの素人で何のPR活動もしていなかった処女作としては、上出来な結果だと思います。
ここで、なぜ処女作が跳ねてくれたのか、後付けですが理由を考えてみます。
私は、こういう「人気」という水物については、運が大きく介在していると思っています。
では、全ては運任せなのかと言うと、そうも思いません。
重要なのは戦略です。
処女作の甲子園が上手くランキングを駆け上がれたのは2つポイントがあったと考えています。
1つ目は、現実の季節感とリンクしていたこと。
現実恋愛ジャンルでは、クリスマスやバレンタインデーの時期に、それをテーマにした短編が必ずランキングに上がってきています。
「このお話いいな」
と読者に思ってもらうためには、共感が必要です。
そういう意味では、季節感が合ったお話というのは、それだけで共感を得られるチャンスが増えると思います。季節感を合わせるというのは、U−15サッカーにも通じる物でした。
2つ目は、完結保証です。
先述した、とあるタイミングでジャンル日間ランキング下位に入れる程度のポイントが入ったのは、これが要因です。
無事に最終話まで書き上がったタイミングで、私は最新話の更新の前書きとあらすじに、
「最終話まで書き溜めが完了したので完結保証」
と書き込みました。
その直後に30ポイントが入ったのです。
新人の作者には、中々読者から信用を勝ち取る機会がありません。
定期的に更新を続けることと完結作品を積み上げる位でしょうか。
そういう意味では、読者も信用度の低い新人作家への評価ポイントやブクマは出し渋りの傾向があると思います。
甲子園は1日2話投稿を淡々と続けていました。
それが最低限の信用担保となり、完結保証と銘打ったことで、連載を追いかけてくれていた物言わぬ読者が、安心してブクマや評価を入れてくれたという感じです。
さて、処女作が読者の方から評価や感想もいただき、私はホクホクでした。
調子に乗った私は、2作目の投稿を開始することにします。
仮の話ですが、もし処女作の甲子園への反応が皆無であったならば、私はきっと小説を書くという趣味は続けていなかったと思います。
2作目は全人類が一斉に20年タイムリープしたら人は、社会はどうなるのか? というアイディアから生まれたお話です。
前作の甲子園の完結後番外編の投稿を合わせて行って誘導をした甲斐もあり、2作目もランキングに載りました。
2作目は、物語の世界観を気に入って毎話のように感想を書いてくださる読者さんや、人生初のレビューを頂いたりと、これまた幸せな作品でした。
しかし、全人類タイムリープという設定を作者の私自身が活かしきれず、また結末を考えず見切り発車で連載を始めてしまっていたため、書く手が止まってしまいました。
一先ず完結はさせましたが、自分でも納得の行く完結の形を取れず、悔いが残る結果となりました。
気を取り直して私は3作目の執筆に取り掛かりました。
次はハイファンタジーものに挑戦しようと書いてみたのですが、どうにも10話あたりで詰まってしまいます。
そんな折、ここらで1回、流行のザマァものを書いてみるかと思い立ちます。
当時、現実世界恋愛のランキング上位にはザマァものが多かったんですよ。
ただ、私は性癖的に女の子が酷い目に合うお話が書けないため、男キャラに酷い目にあってもらうことにしました。
そうして生まれたのが、U−15サッカーでした。
本編の話数は15話の5万文字程度の中編です。
ザマァものは書いてみると意外と楽しかったです。
何というか、盛り上がりどころが解りやすくて、書いてる本人も気持ちよくなっちゃうんですよね。
U−15サッカーは、私の寝る前のお布団の中で妄想していた話をベースにして、好き勝手に自分の趣味の将棋やらビブリオバトルやらの要素を詰め込んで書きました。
最終話まで書き上げたら、ちょうどサッカーワールドカップが開催するまでに良い塩梅の話数だったので、1日1話投稿すると、最終話の投稿日がちょうどワールドカップ開催日になるように調整して投稿を開始しました。
そして、いざ投稿を開始すると、ちょっと自分の想定を超えた反響が返ってきました。
その頃の私はジャンル別ランキングの5位以内という、所謂ジャンル表紙に入ることを当面の目標にしていたのですが、序盤の終わりあたりで、U−15サッカーは日間ジャンル別1位、日間総合7位に入りました。
日間ポイントは最大で約3000ポイント。1日の最大PVは9万9千。
ジャンル別の日間1位には10日間ほど、1位を他の作品に譲ることなく在位し続けました。
1日1話投稿で本編は15話で完結したので、連載中の実に半分以上の期間をジャンル1位で過ごさせてもらった形になります。
幸せだった~。
なお、決して同ジャンルの他の作品が弱かった訳では無いです。
その時に1位を争った作品は、その後、連載話数を重ねて、年間ジャンル別ランキングの一桁順位や上位にいらっしゃいます。
(ちなみにU−15サッカーは年間ジャンル別ランキングでは最高10位です)
そんな作者として幸せな時を過ごさせてもらったU−15サッカーですが、私は当初の予定通り、ワールドカップの開催日に完結させました。完結した頃は大体、総合ポイントが2万5千ポイント位でブックマークは6000件超えだったでしょうか。
皆さん知ってますか?
ブックマーク6000件の作品が完結すると、どういった事象が発生するのか。
完結ブーストが起こる?
たしかに完結によりPVや評価人数は増えました。
ただ、同時に発生した事象のインパクトがあまりにも大きかった。
答えは、
『ブックマークがえげつないくらい外される』です。
完結直後に減ったブックマーク数は実に500件ほど。
実際は、完結作という事で新たにブックマーク登録をしてくれた方もいたでしょうから、ブックマークを解除した方の実人数はもっと多いでしょう。
ちなみに、最終話が炎上したという事ではありません。
感想欄では概ね好評でした。
「面白かった~(完結したからブックマーク外し~)」
ブックマークをなろうサイトの一機能として考えるならば、何ら不思議ではない行為ですね。
そもそも私自身、作品の投稿をするまではIDの要らない閲覧履歴の機能から作品を追っていたので、ブックマークすら入れていなかったです。
あ、今は積極的に読んでいる作品には評価やブックマークを入れるようにしていますよ。
しかし、何故こうも完結後にブックマークが外れたのか?
これは、U−15サッカーが短期間の連載で完結された中編ということもあり、作品に対しての愛着という物が読者の方に生まれにくかったというのも、ブックマークが外れた理由ではあると思います。
これは後から知ったのですが、これだけポイントやブックマークが伸びた作品は、戦略上、大事に連載を継続するのが良いらしいです。なのに、私は謎の潔さで、当初予定通り15話でキッチリ完結させていたと。
「あ〜、良い体験させてもらった」
幸せな体験と、最後にほろ苦い教訓を胸に、私は気持ちを切り替えて再び新作の書き溜めを始めました。
そして世の中が、ワールドカップの日本の予想外の奮闘に大興奮している中、そのメッセージは何の予告もなく私のもとに届きました。
『U−15サッカーについて是非、書籍化を検討していただきたく~』
出版社からの書籍化打診のメッセージが届いたのはまさに青天の霹靂でした。
さて、タイトルで書籍化打診が作者歴4ヶ月で来たというものなので、これが本エッセイのゴールとなります。
打診を受けた後の、そもそも文字数が全然足りないじゃないかといった裏話については、私マイヨの活動報告でお話していますので、よければ覗いていってください。(ダイレクトマーケティング)
今まで書き連ねてきたのは、ただの私の、なろう歴4か月分を記録したものでしかないです。
そんな記録が、
「けっ! 自慢かよ」とか「私もいっちょ書いてみちゃおうかな」という風に、読んでいる方の気持ちを何かしら揺さぶれたら幸いです。
これにて本エッセイは終局です。
お読みいただきありがとうございました。