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7/2発売【アイリスIF大賞銀賞】氷の騎士団長の飼い慣らし方〜婚約破棄されたら憧れのイケボ騎士団長様と魔法の首輪で繋がって溺愛されました〜  作者: 景華
【第二章】

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まさかの新仕様


 流石に二度目ともなると慣れたもので、鎖が引っ張られることなくロイ様も私に歩調を合わせてくれるし、私も彼の足の向かう方へスムーズに合わせて歩くことができる。

 難なく部屋についた私たちは何を言うでもなくベッドの端へと同時に腰を下ろした。


「息ぴったり、ですね」

「ふふ。伊達に1週間繋がれていたわけではありませんもの。もはや鎖のプロです」

 隣同士で顔を見合わせて微笑み合えば、穏やかな空気が部屋に充満する。


「全く、なんでまたこんなものを作ったのか……。今度テトに会ったらじっくり聞かねばなりませんね」

 表情はいつもと変わらないのにオーラが殺気に満ちてる……!!

 テト様逃げてぇぇぇぇえ!!

「そ、それよりも、さっさと解除してしまいましょう」

 あぁでも、今解除したら真っ先にテト様の命が危険に晒されそうだし、ロイ様が落ち着くまでそのままにしておいた方がいいような気も……。

「解……除……。前回と同じということは、その……口づけ、ですよね……」

 途端にロイ様の表情が曇った。

 まるで口づけをためらうかのようなその表情に、私の心が沈んでいく。

 ロイ様はそんなに私と口づけをするのは嫌なんだろうか。


「……すみません、少し時間をいただけますか?」

「え?」

「先に風呂に行きましょう。前と同じならば、私は扉を挟んで待っていますから。その間に、少し心に余裕を持たせておきます」

 何の余裕?

 私は疑問に思いながらもそれを了承するように頷くと、ロイ様と一緒にサニタリールームへと向かった。


広いサニタリールームで2人、気まずい空気の中向かい合う。

「で、では、私は後ろを向いているので……」

「は、はい……。す、すぐ終わらせます、ね……」

ロイ様が後ろを向いたのを確認してから、手早くドレスを脱いでいく。

自分でドレスの着脱をするのにも慣れたもので、スムーズに脱ぐことができた。

やっぱり仕様は前回と同じのようで、今回も鎖は服を通り抜けてくれた。

これならドアもすり抜けてくれるだろう。

──と、そう考えていた私たちの考えが甘かった。


 服を脱ぎ捨て浴室へと足を進めた私は「じゃぁ、ロイ様、少しの間、すみません」と一言断ると、扉を閉め──。


 ガチャン。

「?」

 閉め──ガチャン。

 し──ガチャン。


「……」

「……」


 閉まらないぃぃぃぃぃぃい!?


 振り返って見れば扉の間でギリギリと挟まっている鎖。

 本当ならこの扉すらもすり抜けているはずの鎖がなぜ?


「あ、あの、ロイ様……」

「は、はい?」

 少しだけ上擦ったような返事がして、私はためらいながらも今起こっていることを言葉にする。

「扉が……閉まりません……」

「……………………は?」

 返ってきたのはロイ様らしくないなんとも間の向けた返事。


「で、ですから、扉を通り抜けないんです!! こっち向いて確かめてください!!」

 そう言って私が手を引きロイ様の首を無理やり引っ張る形でこちらを向かせると、ロイ様のサファイア色の綺麗な瞳が私を映した。

「っ……」

「ほら、通り抜けないでしょう? ……って……ロイ様?」

 惚けた顔で私を呆然と見つめるロイ様。

 そこで私は、自分が一糸纏わぬ姿だということに初めて気づいた。

「っ!! きゃぁっ!!」

「す、すみません!!」

 両手で身体を隠して蹲る私と、慌てて後ろを向くロイ様。


 見られた……!!

 なんかがっつり見られた!!

 あ、いやでも、ふ、夫婦だものね、見られても問題はない、のよね。

 それにしても何で扉が通り抜けないんだろう?

 もしかしてそこだけ新仕様なのかしら……?

「あ、あの、ロイ様」

「わ、私はこのまま扉ギリギリに待機しています。フェリシアは身体が冷えてはいけませんし、そのまま入浴を続けてください」

 紳士!!

 いや、そうじゃない。

 私の裸を見ても意識してもらえないのを嘆くべきか。

 もういいわ。

 そっちがそうなら、私だって腹を括ってやる。


「ロイ様も入ってください」

「はい!?」

 美声が裏返って浴室に反響する。


「な、ななな、な、何を言って──」

「私たちは夫婦です。何も躊躇することはないはずです。それに、このままだと私も風邪をひきますし、ロイ様だってこのあと入るのでしたら同じことでしょう? なら、一緒にまとめて入ってしまった方が効率もいいです!!」


 我ながらひどい大義名分だ。

 だけど今の私にはそれぐらいしかもっともらしい言い訳を考えることができなかった。


「〜〜〜っ、あなたは本当に……変なところで男らしいというか……。……わかりました。では、少しお待ちを。私も脱いだらそちらに行きます」

 折れたのはロイ様で、彼の言葉の後からランドリールームから衣ずれの音が聞こえ始めた。


 待っている時間がこんなにも長く感じるだなんて。

 ロイ様がすぐそこで服を脱いでいると思うだけで心臓爆発しそうだ。

 私が心臓を押さえながら待っていると、ゆっくりとバスルームの扉が開かれた。


「……お待たせ……しました。フェリシア」


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