元に戻れる方法
元の姿に戻れなくなった後、俺と一樹は必死に別の方法を探した。
「何かしら戻る方法はねぇのかよ? 他の特典を使うとかさぁ!?」
「い、今調べてみる!」
特典の欄をスクロールすると、一つだけまだ貰っていない特典の欄を見つけた。
【記念特典:経験値が不足しています】
「クソ、課金とかしても手に入らねぇのかよ……!?」
【特典説明:削除したデータを含めて全ての姿に変身できるようになる】
ま、間違いない、これだ……!
しかし、このゲームに経験値が貯まるようなパラメーターなんて存在しない。一体何をすればいいのだろう。
【経験値の貯め方:様々な姿に変身して経験値を貯めましょう。(服を変えたりすることでも経験値は貯めることができます)】
「一樹、これ……ッ!」
「ああ、やってみようぜ!」
特典を使わずに服を着替えてみた。
女子高生の制服を脱ぎ、元の男子高校生の制服に。
【通知:経験値が上昇しました】
「お、おい……増えたぞ!」
「あと、どのくらい貯めたらいいんだ……!?」
【必要回数:9999…………9】
お、おい、嘘だろ……!? こんなの普通にやったら何年かけても終わらないぞ……!?
「なぁ……遥」
「ど、どうした……一樹?」
「もう腹を括るしかないと思うんだよ」
「……え?」
「きっとアイドルになればいろんな服を着替られるだろう? それに事務所に入れば寮にだって入れるかもしれない。俺たちこの姿で家に帰れると思うか?」
「た、たしかに……」
親には何とか誤魔化して連絡するしかないか。
寮に入ればその不安もないしな。
「本当に目指すのか? ……アイドル」
「ああ。もうそれしかねえだろうぜ」
一樹の目は真剣だった。
まさか一日でこんなことになるなんて。
運命ってなんてイタズラなんだ……。