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冒険者になってみた

 入国?入領して先ずはギルドへと向かう。

 道はメイトがナビゲートしてくれる。

 「そこを右ですね。はいここです」

 へぇ立派な造りだね。

 「さぁ受付しましょう」

 「こんにちは」

 ギルドに入ると冒険者だろうか?

 全員が一斉にこちらを見る、騒つくギルド内、俺は直ぐに受付へと小走りで向かう。


 「いらっしゃいませ。冒険者ギルドグラファスト支店です。依頼の受注ですか?ウフフ」

 笑われた。

 「違いますよ。マスターがイケメンだからですよ」

 んな訳ないでしょ。

 「マスター。そろそろ認めましょ。鏡見てびっくりしてたじゃないですか?」

 鏡は都合よく見えるんだよ。

 「はぁ。後で今の姿を第三者目線で見させてあげますよ」

 止めろ。

 「あのー?」

 「すみません。冒険者登録をお願いします」

 「はい。こんなガタイがいいのに登録されてなかったんですね」

 そうですよねー太ってますよね。

 「そっちじゃありませんよ。筋肉が素敵という意味です。ではこちらに記入して下さい」

 「またまた、はい、これでいいですか?」

 「はい。ありがとうございます。魔法剣士、珍しいですね。では、登録完了です。Gランクからになります。依頼をこなしたり、討伐したりするとポイントが加算されランクが上がります」

 「例えばドラゴンを討伐したらどうです?」

 「そうなればランクBくらいにはなるかもしれませんね」

 「なら、これを売りたいんですか?」

 そう言ってマジックバックに手を入れて、光竜をストレージから取り出す。

 「きゃー」

 「「ドラゴンだー」」

 

 ギルドがパニックになったが、ある一人の男の登場で静まる。

 「うるせーな。何を騒いでやがる」

 「ギルド長。今登録した、こ、この方がゴラコンを討伐したそうです」

 「登録したばかりの奴がドラゴンだと?何抜かしてやがる。見せてみろ」

 「ここじゃ出せないですよ。広い場所ありませんか?」

 「裏に来い。魔物の解体場ならどんな魔物でも大丈夫だ」

 「わかりました」

 「後、その敬語やめろ!冒険者同士に敬語は必要ない」

 「わかった」

  

 案内された場所はそこそこ広い場所だった。

 ギリギリ大丈夫かな?

 「マスターを侮辱する奴などビビらせてやりましょう」

 まぁまぁ。

 

「よしここで出してくれ」

 「わかった」

 マジックバックか取り出した様にドラゴンを出す。

 

 白銀の光竜は死して尚、光を放つ。

 その眩い光は、薄暗い解体場を照らした。

 すると、解体場の奥にいた大きさ男が光龍に近づいてくる。

 「おいおいなんだよ…。光竜じゃねぇか。しかもこの大きさ…古代竜(エンシェントドラゴン)か?それにしても大きいな」

 「古代竜王と名乗った」

 「なんだ?これはお前が()ったのか?」

 「俺が見つけた時には重傷だった。殺してくれと頼まれて、俺がトドメを刺しした」

 「成程な、この傷はお前以外の者の傷か…。人間の仕業じゃないな…。おい、いつまで惚けてんだギルマス」

 

 「あ、あぁ、これは古代竜か?」

 「ギルマス、もうその話は終わったぜ。こいつは古代竜王、ドラゴンの王だぜ」

 「そうか…って何っ!」

 「ギルマスは暫く使い物にならないな。坊主、名は?」

 「ムサシです」

 「じゃムサシ、この古代竜王はここでは買い取れない。王都のオークションに出品しよう。俺たちは解体屋だが、補修もできる。この傷は俺たちが補修してやる。20や30なんて目じゃねえぜ。50億以上は期待しな」

 「そうか50億…な、何だって!」

 「ムサシお前もかよ!」


 ドラゴンは解体場で傷の補償作業の後、王都のオークションへと出される事になった。

 オークションは一月後、出品者のムサシも参加は必須だと言うことを、フリーズ後に知ることになる。


 古代竜王の討伐、アシュタル王国王都で行われるオークションに出品されると言うニュースは大陸中を駆け巡り、各国の王侯貴族や金持ち達が湧き立った。

 勿論、それは魔王の耳にも入る。


 「我の獲物がオークションに出品されるだと。我の経験値を横から掠め取った奴め。アルメ、アラメ、人間に偽装し、アシュタル王国のオークションへと行ってこい。出品者の能力を鑑定しろ、高レベルな奴なら確実に殺せ」

 「低レベルだったらどうするにゃ?」

 「その時は…いや、俺の経験値にもならぬ奴は殺すだけ無駄だ」

 「わかったにゃ」

 「行くにゃアルメ」

 「分かったにゃアラメ」


 ドラゴン騒動から5日、俺はランクEになった。

 討伐とは言え、止めを刺しただけと言うのが大きい様だが、依頼料の良い討伐依頼が受けられて助かる。

 宿屋代を稼ぐ為の薬草採取は卒業だ。


 今日は豚鬼族(オーク)の討伐。

 ランクE最高買取金額である。

 繁殖能力も高く、食肉としては高級品だ。

 皮は鞣してから鞄等加工され、骨や内臓、卵巣や睾丸は薬になる。

 

 この世界のオークは人を食わず、交わらない。

 食肉となる魔物の選別はそこを厳守する。

 まぁ人を食ったり、人と交わって出来た肉を食べる奴はいないって話だが。

 勿論、食わないからと殺されない訳ではない。

 3m以上ある豚鬼族の棍棒の一撃は岩すら砕く。

 

 街を出て、暫く行くと、広大な森がある。

 孔雀(くじゃく)の森と呼ばれ、最奥にいるとされるエリアボス蛇尾鳥(コカトリス)の亜種が孔雀に似ているので孔雀の森と呼ばれるそうだ。


 孔雀の森の浅い所に豚鬼族の集落があり、森に入ると直ぐに豚鬼族が至る所にいる。

 「鑑定」

 平均レベルは30弱ってところかな?

 「そうですね。平均はレベル28です」


 種族 豚鬼族

 レベル 28

 HP 450

 MP 20

 スキル 剛腕 打撃


 弱いな。

 「レベル1800のマスターならデコピンでも一撃でしょうね」

 ちゃちゃっと狩りますか。

 

 「いつもながら一瞬でしたね…」

 はぁ詰まらない…。

 スキル剛腕、打撃獲得。


 

 「ムサシさん。早かったですね。どれくらい討伐されましたか?」

 「50頭までは数えてたけど…」

 「え?」

 「マスター。125頭です」

 「125頭くらいかな?」

 「わ、わかりました。では、いつも通り解体場へお願いします」


 解体場は未だに光龍の補修作業で忙しいみたいだ。

 「おいムサシ。またか?」

 「今日は125頭の豚鬼族」

 「おし!今日も寝れねーぞ野郎ども!」

 「ごめんなさい」

 「構わん。俺たちが忙しいのは危険な魔物が少なくなった証拠だからよ。気にせず持ってこいよ」

 「わかった」


 「豚鬼族125頭の討伐、ありがとうございます。1頭1万ゴードルなので125万ゴードルになります。またお願いします」

 「はい」


 「マスター。暫く此処を拠点に活動する予定ですか?」

 「そうだな。先ずは光竜のオークションが終わったら考えようかな?お勧めはある?」

 「そうですね。迷宮都市がこのアシュタル王国と大陸南のジュラスタイラー王国にあります。どちらも、ダンジョンがありますが、報酬の特性が違います。アシュタル王国の迷宮都市はスキルが宝箱やボス討伐報酬になります。ジュラスタイラー王国の迷宮都市はそれがアイテムになります。S級ダンジョンともなれば最高級な報酬が得られます」

 ドラゴンの金が入ったら迷宮都市へ向かおう。

 「わかりました」

 そんな話をしながら、いつもの宿に帰り、いつも通りの時間に寝た筈だったが…。


 「マスター起きて下さい」

 「マスター」

 「マスター」

 「起きろコラー」

 眠いあと5分…

 「いい加減にしてください。緊急事態です」

 ん?どうした?なにがあったんだ?

 「ドラゴンの卵の孵化が始まります」

 えー!それを早く言ってよー。

 「ストレージから卵を出します。殻が破れるまではマスターの魔力を与えて下さい」

 

 俺は言われた通りに卵に魔力を送る。

 すると、卵にヒビが入る。

 段々とヒビが大きくなっていく。

 「ピーッ」

 「出た。光竜だな?」

 「ピッピー」

 「マスター、名づけして下さい」

 「ピッピとか?」

 「マスターの名づけは壊滅的ですね」

 それはすまん。

 「俺の好きな観葉植物から取ってアイビーはどうだ?」

 「ピューピュー」

 気に入ったか?

 「アイビーの花言葉は永遠の愛…良いと思います。観葉植物が好きだったとは知りませんでした」

 好きだけど…、自分では育てられないから図鑑見たり植物公園とかに行ったりしてたんだ。

 

 「では、テイムしましょう。そうすれば配下になりますのでステータスも上がりますし、最上位テイマーですので声も聞こえるようになりますよ」

 「テイム、アイビー」

 「とうしゃま、とうしゃまアイビーでしゅ」

 「アイビーの声が聞こえた。めちゃ可愛いな」

 「マスター。アイビーとの会話も念話で大丈夫です」

 そうなのね。

 「アイビーを鑑定してみましょう」

 「鑑定」


 名前 アイビー

 種族 光竜(幼体)

 レベル 1

 HP 1500

 MP 2000

 スキル 聖魔法 大聖魔法 再生 不死 浄化 聖ブレス

 加護 古代竜王の加護 


 「配下強化の影響はかなり大きいですね」

 古代竜王の加護まである。

 「レベルを上げれば、マスターの助けになります。大きくなれば移動も楽ですね」

 成長が楽しみだな。


 

 次の日、アイビーのテイム登録をする為に冒険者ギルドへ。

 子供とは言え、ドラゴンがギルドに入ってきた事に驚くギルド内、俺は受付へと向かった。

 「あの古代竜王の子ですか…」

 「はい、あの時に卵を託されまして。昨日孵化して、刷り込みもしたけど、念のためテイムしました」

 「わかりました。先ずは、個体名、種族をお願いします」

 「アイビー、光竜の幼体です」

 「では、テイムが完了した確認です。私の手に乗ってからムサシさんの頭に乗る様に命令してください」

 アイビー、前のお姉さんの手に乗ってから、俺の頭の上に乗るんだ。

 「おとうしゃま、わかりましゅた」

 

 「成功ですね。では、これがテイム登録証です。それと、アイビーちゃんの首や手足の目立つ所にこのタグを付けて下さい」

 「わかりました。首からぶら下げよう」

 「では、登録完了です」

 「ありがとう」

 「はい。今日は依頼は受けますか?」

 「明日は王都に向け出発だから、今日は休むよ」

 「では、明日は気をつけて行ってらっしゃいませ」

 「ありがとう」


 久しぶりの休み、テントや寝袋といった旅に必要な物資を購入する。

 食料品は宿で20日分の弁当を注文した。

 足りないと困るので、肉や野菜を買ってストレージに入れてある。

 

 「マスター。またアイビーが子供達に絡まれてます」

 またか…。ギルドを出てからずっと子供が寄ってくるな。アイビー。早くおいで、逸れちゃうよ。

 「とうしゃま。置いてかないでくだしゃい」

 「マスター、子供にビシッと言ってあげないとダメですよ」

 そうなんだけどね。

 「ギルドでは話せるのに、街の中だとコミュ障になるんですか?」

 仕事とプライベートは違うだろ?宿屋に泊まる金もなかったから、話しかけないと死ぬし。

 「マスターしっかりしてください」

 本当ごめん。


 宿に戻ると夕飯をアイビーと食べて、早めに就寝。

 翌朝早くに此処を出る。

 王都迄は馬車で8日程、オークションに間に合う様に2日程余裕をみる。

 光龍は大型の荷馬車を3台繋げて首や翼、尻尾等を綺麗に折り畳めて8頭引きで進む。

 国王命令で街道を一部封鎖、王都迄の道のりは計画通りに進む。

 俺のアイテムボックスに入れれば簡単なのだが、街道沿いには人々がドラゴンを一眼見ようと集まる。

 娯楽の少ないこの世界では、特別なイベントとなっている。


 計画通りに8日目の昼には王都が見えた。

 人口100万人以上、東京ドーム何個分かも分からない。

 大陸で一番大きな都市で、数十年前の大火で王都の半分以上が焼失した。

 その後、王城から全てを建て直し、区画整理された綺麗な街並みが出来上がったと言う。

 正門から一直線に王城まで続く広い道は馬車が数台すれ違っても余裕がある。

 そこも今日は封鎖され、光龍を乗せた馬車を先頭に一団が進む。

 城門が開くと、王城前に兵士と国王家族が出迎える。

 

 「よくぞ参った。儂はこの国の王、アルバハートⅢ世だ。皆顔を上げてくれ。これが古代竜王か…。見事だ。お主がこれを討伐した者か?」

 「はい」

 「大義である。オークション、儂も楽しみだ」

 「ありがとうございます」


 「アルメ鑑定はどうにゃ?」

 「全く普通にゃ。どちらかと言えば弱いにゃ」

 「殺っちゃうにゃ?」

 「魔王様は弱かったら殺しても無駄って言ってたにゃ。魔王様の言葉は絶対にゃアラメ」

 「もう少し様子を見るにゃ」

 「早く帰って魔王様に報告するにゃ」

 「いやもう少しだけにゃ」

 「少しだけにゃよ。アルメ」

 「わかったにゃ」


 王様との話は続いたが一言、二言以外覚えていない。

 緊張した…。

 いや、現在、アイビーを気に入った王女殿下と一緒で心臓が口から出そうです。

 「マスターしっかりして下さい」

 そうは言っても…。


 「ムサシ様は、決まったお相手はおますの?」

 ん?

 「彼女はいるのかと聞いてます」

 ありがとう

 「いえ、いません」

 「そうなんですね。ウフフ」

 え?なに?

 「アイビーを気に入ったと言いながら、マスターに興味津々の様です」

 またまた。

 「ムサシ様はおいくつですの?」

 「僕は16歳です」

 「あら、私も16歳です。一緒ですわね。ウフフ」

 「あははは…」

 早く宿に帰りたい。

 ご覧頂きありがとうございます。

 ブックマーク、感想、コメント励みになります。

 宜しくお願い致します。


 20時に3話目投稿予定。

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