古代竜王に出逢った
松平武蔵大層な名前だが、引きこもりがちな16才である。
学校には一月行ってない…行けない。
最初は小柄で太った体型をイジられるだけだった、俺も別に悪い気はしなかった。
だけど、次第にエスカレートして、暴行を受ける様になった。
引きこもも最初は気が楽だったし楽しかった。
寝ずにゲームして、漫画やラノベを読み漁った。
しかし、飽きた。
一ヶ月引きこもって初めてコンビニに行った。
パーカーのフードを目深に被り、深夜の住宅街を歩く。
コンビニで弁当と菓子、雑誌を買った。
帰り道、通っていた小学校の裏山で一瞬何かが光った。
普段なら写真のフラッシュだろうとか言い訳して、無視する筈が、この時は光に吸い寄せられる虫の様に裏山へと走り出した。
「はぁはぁ、苦しい…。誰かいますか?この辺りの筈なんだけど」
「人よ、妾を、妾を殺してくれぬか?」
「え!?ド、ド、ドラゴン?」
そこにはとても美しい白銀に輝くドラゴンの姿があった。
「わ、妾は光竜である。再生も出来なくなった。この命、莫大な経験値を魔王にくれてやるなど癪に触る。早く、突き刺さった剣で…妾を殺してくれ…」
ドラゴンを殺せと言われても。
だが、もう助かる見込みのない苦しんでいるドラゴンをこのまま放置するのは可哀想だ。
「わかりました。やります」
「頼み付いでに、妾の子を頼む。妾が絶命すると直ぐに排卵する。その子をよろしく頼む」
「え?子供…」
ドラゴンの命を奪うと言う緊張とその子を頼むと言われた驚きが混ざり合って混乱する。
そんな状況でも、剣を抜いた…が、かなり重い。
やっとの思いで剣を持ち上げる、重みに耐えきれず自重落下するとドラゴンの首を飛ばした。
ジャジャーン
ステータス所持無効の者が古代竜王の討伐を確認、ステータス所持無効を解除、ステータス項目の閲覧可能となります。
レベルが1800に上がりました。
古代竜王のスキル、EXスキル暴飲暴食を獲得、暴飲暴食の効果により古代竜王のスキルを取得。
EXスキル古代竜王、異世界転移、時間歪曲
レアスキル竜王の威圧、極大魔法、不老、配下強化、無限時間停止ストレージ、鑑定、隠蔽
アンコモンスキル各種耐性、大魔法、全マップ
コモンスキル風魔法、火魔法、土魔法、水魔法
を獲得。
続いて、光竜のスキル
EXスキル超極大聖魔法、超再生
レアスキル極大聖魔法、広範囲浄化、言語理解
アンコモンスキル大聖魔法、生活魔法、時空魔法
コモンスキル聖魔法
を獲得しました。
次に古代竜王の加護を獲得
最後に、ステータス所持無効の者への特典、ナビゲーターシステム起動しました。
「古代竜王のドロップアイテムを確認しました。自動でストレージへ」
「こんばんはマスター、初めまして、ナビゲーターです」
「こんばんは…初めまして。ナビゲーター?どこから声が聞こえてくるんだ?」
「はい。道案内から敵の位置や支援からお話相手、取得スキルの選別、相手の情報やテストの答えまで、ムサシ様の全てをサポートする、トータルナビゲーションシステムです。声はマスターの頭に直接話しかけています」
「夢?寝ぼけてるのか?」
「いいえ現実です。マスター」
「そ、そうなの…?これから俺はどうしたらいい?」
「先ずは剣をストレージに入れますね。魔王の魔剣ですね。素晴らしい剣です」
「ま、魔王?」
「はい。決して折れず、曲がらず、斬れずと有名な魔剣です。そして、勇者が魔王に勝った時の褒章にもなります。下手な聖剣は触れただけで斬れますよ」
「あはは…」
「光龍の卵が出たようです」
「わかった」
「ドラゴンの卵か。孵化はどうすればいい?」
「はい、魔力を卵に流してください。一番魔力を流した者を親と認めます」
「魔力…」
「鳩尾に集中して下さい。蠢く何かがわかりますか?」
「あぁ、わかったかも。これが魔力?」
「ええそうです。マスターは天才ですね。その蠢く魔力を両手の掌へ流して下さい。よく出来ました。卵に魔力が浸透しています。魔法を使う場合でも同じことです。違いは、どこから魔法を発現させるかによって変わってきます」
「ありがとう」
「いえいえ、私に礼は不要です」
「そんな事はない。有難いと思えば何にだって礼は必要だよ」
「ありがとうございます。これから自宅へとお帰りになりますか?」
「そうだね」
「では、卵をストレージへと入れます。では自宅玄関前に転移します」
「何?て、転っ」
「移だってー」
「到着しました。後、言葉に出さなくても会話出来ます。発したい事を心で発して下さい。私の声はマスター以外には聞こえません。それと、力加減はこちらでコントロール致します。何もしなければそのドアをぶち壊してしまいますよ」
「わかった。ありがとう」
「いえいえ」
少し早く言ってくれればいいのにな。
「申し訳ございません」
「これも聞こえるのね?」
「勿論です。マスターの全ての思考を逃しません」
うんそうか…心とか関係ないんだな。
部屋に戻るとぐったりしながらも、スキルの説明を受けた。
特出すべきは、竜王となった事で人ではなく竜人となった事だ、人としての性能は変わらないが、これから徐々に身長が伸び、筋肉量が増えると言う。
異世界転移スキルは光龍の住んでいた異世界と地球を行ったり来たり出来る能力で、転移とは違う。
転移は俺の知っている場所に転移出来る。
異世界には転移出来ない。
時間歪曲は時間を遅くしたり、早くしたり出来る。どんなに遅くしても止める事は出来ない。
不老はその名の通り、大体20〜25才で老化が止まる。
死なない訳ではないが寿命はなくなった。
不老に関してはある程度の年齢になったら別人として生きる他無いな。
しんみりしてても仕方ないな。
そう言えば、ナビゲーターと呼べばいいのか?何か味気ないな。名前を付けてもいいか?
「名前を頂けるのですか?嬉しいです」
そうだなーナビゲーターだからナビとかゲーターとか?
「マスターごめんなさい、聞き逃しました」
ダメか。都合のいい耳だ事。しかしいいのが浮かばないな。スマホで調べるか。
ナビゲーターの意味は色々あるのか、航海士?航海士の英語はと、一等航海士はa chief mate、メイトは仲間のメイトだよな。
よしナビゲーターの名前はメイだ。
「ありがとうございますマスター。気に入りました」
親が寝静まった頃に風呂に入る。
顔合わせると五月蝿いからな。
風呂から上がると、PCゲームを起動する。
今流行りの三人称のサバイバルゲームだ、俺はあまり上手くはない。
「マスター、これ私にもやらせて下さい」
やらせろってキーボードとかどうするんだ?
「マスターの身体を借ります」
え?まぁ構わないけど、ちゃんと返してよ。
「では失礼しますね。勿論終わったら直ぐ返しますよ」
なんだこれ?俺こんなに上手くなった?
「マスターの身体を借りて私が操作してます」
不思議な感覚だな。まるで俺が考えて操作してるようだよ。
「えぇ私が脳に直接命令を出しているので、マスターが考えて操作している感覚を覚えます。逆に私が全てを借りて動かす事も可能です。オートパイロット機能ですね。その間、マスターは眠っている事も出来ます。例えば、転移出来ない遠い場所や、夜間の見張りを私と交換して休む事ができます」
それは素晴らしい。
「ありがとうございます。そろそろ勝利ですね」
本当に勝ったー凄い。
「ありがとうございます。このゲーム面白いですね。他にもありますか?」
ここら辺は全部ゲームだよ。俺は眠いから、オートパイロットで構わないよ。
「わかりました。オートパイロットモードへ以降します。マスターおやすみなさい」
おやすみ。
「マスター、おはようございます。朝ですよ」
翌朝、メイに起こされて覚醒する。
こんなにスッキリした目覚めは久しぶりだ。
「ありがとうございます。オートパイロットモードの最大の利点は、快適な睡眠、目覚めの良さ、疲れの解消にあります」
へぇー凄いな。夜変わった事はあった?
「はい。マスターの身長が2.5cm伸びました。このまま行くと、10〜15日で180cmを超えます。洋服の準備をお願いします」
えー!!てか、わからない。服の大きさも、センスもない。
「マスターと出会って1番の驚きでしたね。では、オートパイロットモードで私が購入致しましょう」
メイはサイズとかわかるの?
「昨晩、PCである程度の情報は調べました。流行りや服のサイズはバッチリお任せ下さい」
宜しく頼みます。
「勿の論です」
てか、服買う金もない。
「…」
バイトでもしようかな?
「バイトですか?引きこもにニートにはお辛いかもですね」
ひ、引きこもだし、ニートではまだないし。
「冗談です。では、オートパイロットモードでサクッとバイトしてきます」
「え?」
10日後、メイによるオートパイロットトリプルワークにより、口座には15万円が振り込まれていた。
メイ、お疲れ様。
「初めての労働は楽しかったですよ。それでは、買い物に行きましょう」
身長は170を超え、180の大台が見えて来た。
体重は変わらないが、俺の身体はどうなっているのだろう?
ツンツルテンの服で電車に揺られること20分、お洒落な店が多い場所に初めて立つ。
オートパイロットはやめた。
俺のた為にならないと思ったからだ、しかしメイに指示されるがまま、服を買い漁る。
変われる気がしない。
絶対こんなの似合わないだろって物まであって内心ドキドキだしながら試着する。
「よくお似合いですよ」
「あ、ありがとうございます」
「モデルさんですか?」
「い、いえ違います」
「そうなんですね。でもかっこよくて、モテそうですね」
モテる?
生まれてから16年、初めて言われた単語だった。
「全然そんな事はありませんよ」
「またまた」
「そんな俺なんて。これもお願いします」
「はい。合計で6万5千円です」
高い。
手が震えるのを我慢して支払って次の店へ。
この日の出費、14万8千円也。
数日後。
「おはようございます。マスター、今日は異世界へ転移しませんか?」
「おはよう。異世界?」
「はい。身体も180cmになりましたし、ここ最近の、オートパイロット強制筋トレも身を結んでいます。異世界へ転移するのに問題ないと思いますし、卵の孵化も間近に迫っています」
成程、ここ最近何故か筋肉痛に襲われていたのはこの為か。でも、剣はあるけど装備品は?
「大丈夫ですよ。古代竜王のドロップアイテム古代竜王の防具一式がストレージに入っています。古代竜王の死骸、魔石を売れば金に困りませんよ」
なら行ってみるか。
「では、時間歪曲で地球の時間を遅らせます。これで異世界に1年居ても、こちらでは1時間程度時間が進むだけになります」
そんなに遅らせていいの?
「問題ありませんよ。では、防具を装着したら魔力を全身に流して、「異世界転移」と唱えて下さい」
「異世界転移」
ジャジャーン
ステータス所有者の初の異世界転移に管理者よりギフトが送られます。
EXスキル両替、レアスキル最上位テイマー 最上位騎乗、アンコモンスキル上位剣術 騎乗
EXアイテム精霊水筒、レアアイテムマジックバック大 魔剣の鞘
「ここが異世界?」
「はい。ここはアシュタル王国とイジス帝国の国境付近です。アシュタル王国辺境伯領が近いですね。ナビゲートします」
了解。そう言えば、ギフトがどうとか言ってた気がするんだけど。
「はい。スキルとアイテムが追加されました。歩きながら、マスターの最新ステータスについて説明しましょう」
氏名 ムサシ
年齢 16
種族 竜人(隠蔽で人族となっている)
職業 古代竜王(隠蔽で魔法剣士)
レベル 1800(隠蔽で18)
HP 28000(同じく280)
MP 30000(同じく300)
スキル
EXスキル 暴飲暴食(倒した相手のスキルを得る) 古代竜王(竜種を従える能力) 異世界転移
時間歪曲(時間の速度を変える) 超極大聖魔法 超再生 両替(その国にあった金に勝手に等価交換で両替する)
レアスキル 古代竜王の威圧 極大魔法 不老 配下強化(配下となった者に力を与える)無限時間停止ストレージ 鑑定 隠蔽(ステータス情報の改変隠蔽又は身体の隠蔽) 極大聖魔法 広範囲浄化 言語理解(全ての言葉、文字を理解する) 最上位テイマー 最上位騎乗
アンコモン 各種耐性 大魔法 全マップ(地球、異世界関係なく使えるマップ) 大聖魔法 生活魔法(生活に必要な魔法) 時空魔法(ワープが使える) 上位剣術
コモンスキル 風魔法 火魔法 土魔法 水魔法 聖魔法
加護 古代竜王の加護(隠蔽)
ストレージ内 精霊水筒(無限の美味しい精霊の水) マジックバック大(ストレージの隠蔽用?)
魔剣の鞘は魔剣ならどんな形でもピッタリと収まる。
魔王の魔剣用に使う。
コモンスキルと、アンコモンの一部以外は隠蔽。
最上位テイマーと最上位騎乗はアンコモンの上位テイマーと上位騎乗に改変。
歩きながらメイトの話を聞いていると、街が見えて来る。
アシュタル王国グラファスト辺境伯領。
イジス帝国が大陸統一を目指して何度も進行するもグラファスト辺境伯軍に全て敗走。
アシュタル王国の盾とも言われ、海と山とアシュタル王国もといグラファスト辺境伯領に囲われた軍事国家イジスを完璧に封じ込めている。
銀貨1枚(千円)の入国税を払い何の問題もなく入国した。
残金千円。
ご覧頂きありがとうございました。
ブックマーク、コメント、感想、励みになります。
宜しくお願いします。
この後、19時に2話目投稿予定です。
よろしくお願いします。