82
誰も言葉を発しない。
ちょっとやりすぎたかな?
「失礼いたしました。ノア様、申し訳ありません。」
「ん?なんでムンさんが謝るの?誰も悪い事はしてないよ。でもさ、口で分からないなら、実力で分かってもらうのみ。まさか、あんな大口叩いたんだから、今更やらないなんて言わないでしょ。ねえ、君?」
あ~やっぱりちょっと、むかついたかも。
「ほら、さっさとやろ。時間がもったいない。」
そう言い、半ば強引に試合開始まで持っていく。
「では、試合を始めます。_はじめ!_」
その瞬間、床を蹴り上げ距離を詰める。
真正面から、切り込む。
さすがに受け止められる。
ま、こんくらいは騎士なら出来なきゃな。
でも、鍛錬がたりないな。これじゃ、自分が反撃できないだろ?
ずっと受け止めているだけだから、剣を右に流してやり、相手の剣を払う。
自分は、剣を払えたら刀身を上に向け、逆手で剣を持ち、喉元に付きつける。
「終わり!勝者、ノア様。」
はあ。言うほど強くない。
まあ、そうだろうと思ったけど。
負けて呆然とする相手に声をかける。
「君、入隊してどのくらい?」
「・・・あっ!はい!1年になります!」
「え!?1年!?そんなに経ってるの?」
「え・・・はい・・・」
「副隊長!これ、入って1年の人って皆このくらいのレベルなのか?」
「はっ、はい!」
うーん。僕は大神様たちからの恩恵で、普通の人の倍の速さで強くなっていくのは、わかるんだけどさ・・・
それにしても、怠けてる?
いや、体力も魔力も使い切らないと、こんなものなのか?
「うーん。うーん。」
「どうされましたか?」
「いやね、1年鍛錬してるわりに、弱いんだよ。」
「・・・・・・・」
あ、やってしまった。
あの子、心折れちゃったかな。
素直に答えすぎた。
「ごめんごめん。今日のメニュー、僕がやっているメニューと同じなの。人それぞれ、神様からもらったものは違うから、多少は仕方ないけど、それにしてもって思ったわけ。ちなみに、兄上とは剣術は6:4くらいで少し僕が勝ってるけど、魔法は3:7で兄上が勝ってる。ミックスは五分五分。ね、これだけで兄上の強さが分かるでしょ?」
「は・・・はい。ノア様の強さも・・・」