79
「ちなみに言っておくが、こいつらは毎日新人騎士と同じメニューをこなしているぞ。私との模擬戦もかんたんには負けん。おまえらにも、簡単に負けはしないだろうよ。」
うん、疑いの目。
兄上はともかく、僕はまだ5歳だからな。
冒険者登録も5歳からできるとは言っても、皆博付けのためや、身分証代わりに作るのが一般的だ。
本格的に活動する子供は、ほぼいない。
スっと手を挙げ「父上」と呼ぶ。
「ん?なんだ?」
「口で言われても、信じられないと思います。兄上はともかく、僕はまだ5歳の”お子ちゃま”ですから。」
「うーん、確かに。見た目だけは、年相応なんだよな。」
おいおい、父上。そりゃないぜ。笑
「はい。そこで提案です。僕、皆さんと鍛錬してきます。もちろん模擬戦も。僕が鍛錬に着いていけるなら、兄上も着いていけるだろうって皆さん思うかと。」
「それ、いい案だな。だが冒険者ギルドも行くんだろ?それまでだ。私も報告会が終わり次第、参加する。リアムは私と来てくれ。ムン!ノアを頼む!」
「はい!お任せください。」
頼もしい、お兄さんのムンさん。
「じゃあ、ノア後でな。お前たちも、気を抜くなよ!後で、手合せするからな。」
「ノア、気を付けるんだぞ。行ってくるね。」
そう言って兄上は頭を撫でてから、父上の後を追った。
ガイさんも、こっちに参加したかったようだけど、一応1部隊の隊長だからね。笑
報告会に参加するようだ。もちろん、他の隊の隊長たちも。
脳筋ガイさんより、説明とかはムンさんの方が向いてそうだな。
全隊の副隊長が集まり、話し合っている。僕は台から降りて、周りを見渡している。
「よし!今日は、全隊合同訓練にするぞ。練習メニューAだ。」
「ノア様、今日の練習はノア様がやっていることと変わらないです。問題ないかとは思いますが、きつかったら遠慮なくおっしゃってくださいね。」
「うん、わかった。ありがとう。それと・・・」
そこで一度言葉を切って、副隊長たちの元へ行く。
「練習メニューの変更をさせてしまい、すまない。」
そう言うと、ムンさん以外の副隊長たちが、目を見開き驚いていた。
なんでだ??
父上も威張ったりしないから、普通に謝罪したりしているはずだよな。
なんで驚いているんだろう??