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「父上、余計な情報まで・・・宰相様、混乱しちゃっていますよ。少し待ってあげましょう?」
「うむ、そのようだな。」
しばらく沈黙が続く。
1分ほどたつと、宰相はパソコンが再起動したかのように、動き始めて口を開いた。
「ええ!?ノア様は、ステータスだけでなく、勉学でも、天才なのですか!?」
父上は宰相の勢いに気圧されながらも、答える。
「あ、ああ。神童なんだと思っているくらいだよ。神々からのご加護もあるし、間違ってはないのかなと思っている。」
「ちなみに、勉学はどこまで・・・進んでいらっしゃると?」
「算学は、たぶん国一番だろうか。なんせ何も使わず、頭の中で答えが出せるのだから。」
「父上!それは、暗記ですからと言ったでしょう!?今なら、兄上だって、トーマスだって出来るのですから、誇張しすぎです。」
「算術が暗記・・・?」
「そうですよ。答えは一つなのですから、記憶すれば良いのです。」
「なんと・・・その他は?」
「ああ、マナーなどは当主レベル。歴学は我が国と、領地に隣接する隣国は終わってる。今は他の国に手を伸ばすところだ。まぁ、このペースだと、あと1年あれば歴学は主だった国は制覇するだろうな。だから、学園に通うことはないだろう。退屈で仕方ないだろうからな。」
「そんな・・・1年で終わると・・・」
「ノアの能力はそれだけでないですよ。剣術は私と同じくらい腕が建つし、魔力量も多いし、既に初級魔法は制覇した。中級もほとんど使える。聖魔法はこれからだけど、すぐに出来るようになるでしょう。」
と、兄上が言う。
「はい・・・?洗礼式が終わったばかりですよね?」
「そうなんだがね。洗礼を受ける前でも魔法は使える。3歳から独学で勉強していたノアを見て、このままだと一人でも練習しかねないと思って、教師を頼んだんだよ。魔力暴走があってからじゃ、遅いからね。」
「3歳・・・ちなみに、なにで勉強を・・・」
「ん?我が家にあった本だが?」
「え・・・ダンテ、おかしいと思わないのか?」
「え?なにが?」
「3歳で字が読めるのが!!絵本の年齢だし、読み聞かせてもらう年齢だ!!」
「あ、そういえば・・・」