45
「皆様、昨夜に続き、お集まりいただき、ありがとうございます。よくお休みになれましたでしょうか。」
「お気遣いありがとうございます。」
「とても居心地の良い部屋でしたよ。」
「それは良かったです。一晩経ちましたが、昨夜のノアの件、お気持ちはお代わりないでしょうか?」
「「変わりないです。」」
と、皆様が答えてくれる。
それを聞いて父上は、僕を見る。
父上に頷いてから、話し出す。
「皆様、僕のためにお集まりいただき、ご支援いただけるということで、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
「いえいえ、辺境伯にはいつもお世話になっておりますから。とはいえ、全て鵜呑みにとは言えないので、魔法については、後で実践してもらってもよろしいでしょうか?」
と、ロートルテ辺境伯が言う。
その通りだ。話しのありのままを信じているだけじゃ、当主は務まらないだろう。
「もちろんです。あ、なら明日やる予定だった、テストも今行いましょうか。そんなにお待たせしませんし。トーマス、先生方から預かっていたよね?」
「はい。お預かりしてますので、お持ちします。少々お待ちください。」
「私は、この応対だけで充分だけどな。」
「うんうん。私ともちゃんと渡り合っていけるのでは?」
と、侯爵、次期侯爵が話している。
トーマスが戻ってきた。
「トーマスありがとう。それを侯爵から回して、順に問題を見てもらって?」
「はい、承知しました。」
トーマスがいつもより、キリッとしてる。
うん、いつもよりかっこいい。フフッ
「「えっ?」」
侯爵と、次期侯爵がハモった。
「どうかされましたか?」
「あ、えっと・・・これを本当に5歳のノア様が?」
「はい、もちろんです。」
「そ、そうですか・・・」
そう言って次々に、目を通してから、隣へと回していく。
えっ?とか、嘘!?とかそんな声も時々聞こえたが、順調に回ったようだ。
皆様が見終わったのを確認したので
「トーマス、説明を。」
「はい。この問題は先週、ノア様の家庭教師の先生から預かったもので、先程まで私の部屋の鍵付きの机の引き出しに入っていました。ノア様は今から初めて見るものです。」
さすが、トーマス。
僕の言いたいことは、皆まで説明しなくてもしっかり分かってくれたな。
もし、いい点を取っても、事前に答えや問題が分かっていたのではってなんて言われたら、困るからな。