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勉強という名の、テストを終えて外へ出た。
魔法実技も見たいと言う、父様と兄様の要望だ。・・・笑
「トーマス、いつも通りでいいかな?」
「うーん・・・いつもの半分程度で。」
「えー。まあしょうがないか。庭だしね。」
僕たちの会話についてこれない父様と兄様。
「じゃあ、あの的に当てようかな。ウォーターボール!」
右手を前に付きだし、魔法を放つと一直線に的のど真ん中に当たり、半分に割れた。
「ふう。まあ、こんな感じです。いつもの半分の威力ですが。」
「父上、次期当主ノアに譲ります。」
と、茫然とする父様と兄様。
「だから!兄様嫌ですよ!!僕って、何かおかしかったですか?」
とウルっとしながら、見上げてみる。
すると兄様は、ウッと心臓あたりを押さえて、悶える。
そう、うちの家族は僕に甘い。こんなことをすれば、イチコロさっ☆
それがきかないのは、今のところイーマスだけだな。
「しかしノア。すごいな。的確に打ち抜くし、初級魔法でこの威力。しかも、いつもの半分だと?今どの程度の魔法まで使える?」
「どうなのでしょう?トーマスいつものは何級の魔法?」
「水、火は中級魔法ですね。」
「・・・才能の塊だな。ノアよ、これからも強くなるだろう。強くなったお前は何を求める?」
「強くなろうが、ならまいが、変わりません。自由と愛です。」
「達観していらっしゃいますね。それを望むのは、なぜでしょうか?もっと多くを望めるかと思いますが・・・」
「うーん・・・その2つがあれば、僕は幸せだと思うんですよ。多くを望んで、その2つが望めないことが嫌だから、多くは望みません。」
「・・・理解できない・・・」
と、トーマスと兄様がつぶやく。
「これからもっと強くなるだろう。そうすれば、ノアは国王にもなれるだろうし、世界征服も、国を滅ぼすこともできるかもしれん。もし、理不尽を通したいと主張するのならば、私は家臣として人間として、手遅れになる前に・・・」
言いかけた父様を手で制す。続きはわかる。でも、聞きたくない。
「父様、僕は父様も母様も、兄様、姉さま、トーマス、イーマスもみんな好きです。愛されて幸せです。続く言葉はわかります。心配される気持ちも!でもっ、言われるのは辛いです。聞きたくありませんっ!」
そう言い、気づけば大泣きしていた。