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時は流れて午後・・・
僕はダンテ・リアム・トーマス・イーマスに囲まれ、テストを受けている。
こんな間近で見られながら受けるテストは、とても気まずい・・・
「終わりましたよ。」
「「は?」」
「え?いや、だから解き終わりました。」
「いやいやいや!早くないか?まだ始めてから5分だぞ?」
「そう言われましても・・・」
「ええ、だから天才だと申したじゃないですか。」
「と、とりあえず正解か確認しよう。半分リアムがやってくれ。」
「っわかりました。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
沈黙が流れる。
あードキドキするなあ。
「父上、終わりました。」
「リアムも終わったか。で、どうだ?」
「はい、全部正解です。」
「そっちもか。こっちも全て正解だ。しかし・・・信じられん。」
「ええ、本当に。100問ある問題を5分で解くほどとは・・・」
「ああ。ほとんど考えていないだろう。答えが分かっていたようだ。まさか、事前に知っていたということは?」
「ダンテ様。お言葉ながら、このテストは昨晩トーマスと作成し、先程まで私の部屋の鍵のついた引き出しにしまっておりました。それは、不可能かと。」
「ああ・・・だろうな。しかも、これはトーマスが学院で習っているレベルの問題だぞ。」
「え?我が国の教育レベルは、こんなものなのですか?」
歴史は別として、算術なんかは、小3レベルだったけど・・・
「こんなもの・・・」
「ちなみに、これはどう解いた?」
「ああ、それは暗記ですよ。」
「算術が暗記?」
「はい。たとえば・・・」
この問題、5+5+5+5+5という問題は5を5つ足すということですよね。
この式を新しい式にします。5×5=25というように暗記しています。
×は、5を5つ足すという意味です。
と、掛け算の解説をした。
「うん、理解したような分からないような・・・必ずこの数字になるんだね?不思議だな・・・で、歴史はどう解いたの?」
「歴史ですか?歴史は解くというより、暗記ですよね?兄様。覚えていれば、答えはすぐ出てきますよ。それに、算術と違って、答えも1つですし。」
「ああ、そうだね・・・」
「トーマス。疑っていたわけではないんだが、信じられない気持ちだった。悪かった。確かに、ノアは天才のようだ。」
「父上、次期当主、変更しましょう・・・」
「えっ!?兄様、おやめください!私は自由に生きたいんです。当主にはなりませんよ!」
「ハハハ・・・父上の決定がすべてだよ。」
むっとして「では、父上。僕を当主としたなら、すぐ出ていきますので!」
と言ってみた。
「ノア・・・表情は子供なのに、言っていることは大人顔負けだな。リアム、次期辺境伯はお前だ。」
言質を取り、ニヤっと笑う僕だった。