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母上も次期公爵夫人も、嫁いだ後は忙しく、頻繁に会うことは難しいようだけど、それでも時間を見付けてはお茶会を開いたりしているらしい。
「本日は、お招きありがとうございます。実に優秀な息子様ですな。辺境伯家も安泰でしょう。これからが楽しみですな!」
「いえ、お忙しい中お越しいただき、ありがとうございます。ええ、”ノアの成長も”とても楽しみです。」
「ハハ!違いない!リアム様も、エマ様も優秀ですからね!それと、このような場で申し訳ないですが、懇意にしてくれている辺境伯には、先にと思いまして・・・私事ですが、そろそろ引退しようと思っています。息子たちに代替わりしても、仲良くして頂けると嬉しいです。」
やっぱり出来る人間は、違うなぁ。
今の"ノアの成長も"って言葉だけで、僕の兄姉も優秀だぞと仄めかしたのを気づくとは!
「ご丁寧にありがとうございます。そうですか。当主とは大変なものですからな。私も日々身に染みていますよ。ゆっくり休まれるとよろしいかと思います。」
「もちろんですわ。ラーナとはもともと仲が良かったですし、ご安心ください。」
「僕のために、来てくれてありがとうございました。それにお仕事、お疲れ様でございました。これからも、よろしくお願いします。」
会話でボロを出したくない僕は、なるべく話したくはないんだけど・・・
さすがに、父上母上と続けて声をかけているのに、僕だけなにも言わないのはまずいからな。
なるべく簡単な感じにしたけど、こんな感じで大丈夫かな・・・?
僕が口を開いたあと、侯爵様たち驚いた顔をしていたけど、大丈夫だよな・・・?
「ほぅ・・・そう言っていただけて、嬉しいですな。」
「ハハ・・・侯爵様、次期侯爵様、お願いがございます。あとで時間をいただけますか?」
「ん?ああ、構わないよ。」
「私も、構いません。」
「ありがとうございます。後で声をかけさせていただきますので、よろしくお願いいたします。」