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「あのな、ノア。さっきの挨拶は、誰に教えてもらった?それか、添削してもらったか?」
「え?いいえ?自分で考えましたよ?自信があったので、添削もしてもらわなかったのですが・・・やっぱり、まずかったでしょうか?」
「まずいというかな・・・」
と兄上は困惑した表情をしていた。
ああ、やらかしちゃったかな・・・
「申し訳ありません!リートルテ家を貶めるつもりではなかったのです。」
と、ガバっと90度に頭を下げた。
「ノア!!そうじゃないんだ!」
と、小声ながらも焦ったような兄上の声。
え?と顔をあげると、兄上の焦っている顔と、母上が兄上の方を向いて怒った顔をしているのが、一緒に視界に入った。
「ノア、5歳の子供がする挨拶は、もっと簡単な挨拶なんだよ。」
「そうです。例えば、"ノア・リートルテです。よろしくお願いします"くらいですね。」
と兄上、トーマスが続けて話す。
「ああ、そういうことですか!」
「わかったか?」
「はい。つまり、僕の挨拶は難しい言い回しが多かったと。」
「言い回しって・・・はぁ、どこで覚えるんだ?それに、察する能力もすごいな。まぁ、今はいいや。そういうことだよ。あんな挨拶、僕でも出きるかわからない。さっきの挨拶なら、もう一人前、当主の挨拶だよ。」
「え?そこまで?」
「「「「そこまで、だな(よ)。」」」」
おぉ~父上、兄上、姉上、トーマスがハモった。
「いつでも、貴族社会に出ても、渡っていけるだろうよ。」
「ぇえ!そんな!嫌ですけどね?」
ハハハ・・・こりゃ、苦笑いしかない。
悪目立ちしてしまった・・・
そりゃ、そうか・・・
言われてみりゃ、前世の5歳なんて車のオモチャとかで遊んでて、勉強だって始めるかどうかのレベルで、始めてても、文字が読めるかどうかってレベルだったもんな・・・
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