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入ってきた兄上、姉上、兄上の執事、メイドも皆、僕のひざの上にいるリルに驚いていた。
が、そのオーラに圧倒され、何も話すことはなかった。
「お待たせしました。皆そろいましたので、まずは、ノアの元に来られた経緯をお聞かせ願えますか?」
『うん。それにはまず、ノア様のステータスを見ていただいた方が良いのでは?』
「確かに・・・ノア、お願いできるか?」
「はい!」
そう言って、先程もらった持ち運びできるクリスタルに手をかざす。
すると、フワっと少しクリスタルが光り、ステータスが表示された。
あ、フェンリルって、リルが追加されてる!
「こ、れは・・・」
と兄上、姉上が絶句している。
ん?そんなに悪かったかな?
『この通り、ノア様は神の愛し子です。僕・フェンリルは、神の分身ともいえる存在。愛し子であるため、ノア様の能力は高いですが、それでも心配であり、愛し子といつでも一緒にいたいという本望で、ここに居ます。あ、ノア様が愛し子になったのは、”心根がとても優しく、何かを成し遂げられるであろう存在であるから”だそうです。僕の場合は、そんな難しいことは分からないけれど、優しくて強いノア様の側にいたいし、もし万が一僕が必要なときは協力したいからここに居る。ね?簡単、明快な理由でしょ?』
「は、はあ・・・ええっと、”何かを成し遂げられるであろう存在”という言葉が気になったのですが、なにか・・・たとえば国王になって何かするとか、世界を統一するとか、神様はノアに、何かやってほしい事があるのでしょうか?」
『ああ・・・ハハハ。ないない!大丈夫!ノアに使命はないから。ただ単純に好かれているだけ。神にも僕にも。でも、確か神は”自由に生きてほしい”と言っていたよ。あとは”愛される喜びをたくさん知ってほしい”とも言っていたな。それと、僕には”ノアに害をなすものは消せ”とも言っていたなあ。あ、もちろんノアの家族でも容赦しないからね?そこは、よろしく。』