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うう・・・苦しい。狭い。暗い・・・
苦しい苦しい。神様め、苦しいじゃないか。
これじゃ不幸だよ。
早く、早く解放してくれ
「オギャーオギャーオギャー」
やっと解放された・・・ん?オギャー?赤ん坊か?
産まれてくるとき、こんな苦しいのか…
仕方のない苦しみか。
不幸だなんて、うらめしく思ってスミマセン神様。
そっと目を開けてみるがほとんど見えない。
だけど、暖かくてホワホワしていると、べっぴんさんが近づき、ほおずりした。
あれ?赤ん坊は俺か。本当に転生したんだな。
「オリ・・・」と男の人の声を聞きながら、意識を手放した。
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転生して、4年が経った。
前世の記憶もあるから、言葉の理解も早い。
もちろん言語は全然違うけど。
周りには天才だってチヤホヤされて、両親は愛情たっぷり、甘やかしてくれる。
10歳年の離れた兄も、7歳年の離れた姉も、年が離れているからか、とても可愛がってくれる。
リートルテ辺境伯、当主の父ダンテ・リートルテ(34)
母のオリビア・リートルテ(31)
兄のリアム・リートルテ(14)
姉のエマ・リートルテ(10)
そして、俺はノア・リートルテ(4)
前世と違い、とても幸せだ。
不幸ってなんだ?ってくらい。
これが不幸かな?と思うのも、小指をぶつけた、くらいなものだ。
前世を考えると、あり得ない差だ。
いいのか?とも思うこともあるけど、前世のようにはなりたくないから、すべて受け入れる。
5歳になったら、ステータスをもらえる。
マイナンバーを進化させたもの。
魔法もあるから、属性の適性とか、魔力量とか、職業犯罪歴なんかも、すぐに分かるようになる。
あ、魔法のあるファンタジーな世界だと気づいたのは、わりと生まれてすぐだった。
なんたって、水が手から出てくるんだから。
水道なんて通ってないよ。
だって手から水出てくるもん。
電気だっていらないよ。ライトっていえばいいんだ。
もちろん、火だってすぐつく。
生活魔法は皆使えるようだから、どこの家でもそうだ。
神様、ありがとう。
僕はとっても幸せ。