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す、すご・・・
いくら学友だとしても、王様にあの態度・口調なのは、父上くらいだろうなあ・・・
百歩譲って、宰相はいいとしても、さあ。
いや百歩譲ってるけどな?
王様にあの態度で、不敬罪とかにならないのかな?
いくら公の場でないにしてもさ・・・
でも、宰相も何も言ってなかったなあ・・・
なーんて、現実逃避していたら、
「そういうことだから。ノアは、何も心配しなくていいよ。」
「え?そういうことって?」
「国を出るってこと。」
「え?本気だったのですか?」
「うん。当たり前だよ。」
「・・・・・・・」
「万が一、いや億が一、その王都の貴族をノアが気に入ることがあったら、やめるけど。まあ、夜会で散々なこと言われても、許せるほどの恋、ね。」
うっ、それって。すっごいマイナスからのスタートじゃん。
最初の悪印象から、プラスに持っていくのって難しい。
まあ、そんな人に僕が恋をするなんて、ほぼあり得ないってことだね。
僕は相手のことを知って、どうすればマイナスからのスタートにならないか、考えてからプロポーズしよう。
いい反面教師として、客観的に見させてもらおう。
うんうん。
バカな貴族を受け入れるには、これくらい理由がないとな。
とか考えていると、急に玄関あたりが騒がしくなって、何事かと顔を出せば、鬼の形相の兄上がいた。
こ、わい・・・般若みたい・・・
なんで、兄上帰ってきてるの?
仕事は?
なーんて、質問をすれば、僕のためだと言う。
仕事をほっぽりだして来たらダメでしょ!と叱ると、子供にも、教師にも、保護者にも許可は得たという。
え、この短時間にそこまでしたの!?と驚くと、
”ノアに褒められた。嬉しい”
と喜びの舞いを踊って、ドン引きした。
そのうえ、
”ノア以上に優先させることは、何もない!”
と声高々と宣言され、僕は頭をかかえたのだった。
うちの兄上は、どうやら頭がおかしくなったようです・・・
「ノア、あきらめなさい。この子はずいぶん前から、ノアにご執心だったよ。」
と父上に、慰められ?うなだれるのだった。