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父上は、早馬を出して、1時間ほどで帰宅した。
いや、すんごい早い帰宅だよ、うん。
やっぱり僕だけじゃ、不安だったのだろうか。
まあ、ガキんちょだもんね・・・
ハンスから、再度説明を受けた。
結論はやはり、僕の婚約の話しだろうということだ。
父上は、王都での夜会の話しを聞いて怒り狂った。
そして、あろうことか王様と、宰相へ連絡をとったのだ。
手鏡みたいのに、魔力を流すと、水蒸気のようなモクモクが出てきて、そこに映像を映し出してくれる。
声と、姿を届けてくれる、テレビ電話のようなものだ。
卒業祝いに、仲の良かった3人に前国王からプレゼントされたそうだ。
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「どういうことだ?王都にいるアホ貴族が、我が家の大切なノアと”婚約#してやる__・__#とは。」
「それは、耳に挟みました。すぐに捜査開始しています。」
「結果は?」
「勝手に言っているだけ、かと。途中経過の報告を受けいますが、正式な結果はまだ・・・」
「以前、宰相さんが来たときに、言ったよなあ?俺らは、大切なノアに何かあれば、すぐに国を出るって。別に辺境を守らなくたって、生きていける。俺の一番は、家族だ。そこは変わらん。アホ貴族が帰るころには、国を出るよ。今まで、ありがとな。」
と、ヘラっと笑って手を振った父上だった。
すごい大事になっているけど、僕のせいだと思うと、なんだか申し訳ない。
「ちょちょちょ!待ってくれ!」
「待たん。」
「今すぐ何とかする。」
お、静観していた王様がしゃべった。
「申し訳ない。宰相からはちゃんと、聞いていた。私の不手際だ。」
「ああ。だろうな。念押ししておいたからな。」
「そのうえで、これからどうすれば、ダンテの家族を守れるか、一緒に考えたい。いいかの?」
「はあ。リミットは、アホ貴族が帰るまで。それ以上は、延ばさない。」
「わかった。宰相と考えてみる。だから、夜また連絡するよ。」
「ああ。わかった。」