144/156

129

今日は、久しぶりにオフの日。

リル＆ペスとのんびりしようか、リル＆ペスとギルドで依頼を受けようか、リル＆ペスとどこか違う街へいこうか、と悩んでいた。

すでにリル＆ペスは僕にとって、とっても大切な存在で、家族だと思っている。

こんなふうにオフの日くらい、一緒にずっと過ごしたい。

最近は忙しくて、夜寝るときと、ごはんのときくらいしか、一緒に過ごせなかったから。

そんなふうに、のんびり考えているところに、侯爵家からの早馬が来た。

父上は、雪下野菜の保管方法について話し合いに出かけているし、兄上は学校が開校し軌道に乗るまではと、毎日通い詰めている。

あ、でも交代で休みはとっているよ？

一昨日は父上が休みだったし、明日は兄上が休みの予定なのだ。

母上は、姉上とお茶会という名の女の戦場へ行っている。

そんなわけで、今辺境伯家を代表するのは、僕しかいない。

普通の子供なら執事に任せるのだろうけど、侯爵家は僕の洗礼式のときのパーティーに来ていたから、やらかしをしっている。

だから、出て行かないという選択肢はない。

とはいえ、早馬で来た人がそれを知っているとは限らないので、執事兼家令のイーマスと、僕の執事のトーマスにも付き合ってもらうが。

「お待たせしました。」

と階段を降りれば、見知った顔の人がいた。

「いえ、それほど待っておりません。お久しぶりです、ノア様。」

この人は、侯爵家の騎士、ハンス様だ。

侯爵家に仕えているものの、熱狂的なノアファンである。

屈強な騎士のファン熱は、すさまじいものであったが、嫌がることは絶対しないという、ファンのお手本のような人である。

そんなハンスだから、ノアもある程度のことは許していたのだ。

そんな彼が、息を切らしながらも、早馬を走らせてきたのだ。

嫌な予感がする。