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その日から数か月、僕は先頭に立って奔走した。
まず雪下野菜について。
「~というわけで、実験をしてみたいと思うのです。雪下野菜を各農家、1区画作ってください。食べ比べをしてみましょう。」
僕の知識は、本で読んだ知識ということにした。
「けどよー、実際本での知識であって、出来るかどうかも分からないじゃん。1区画全部ダメになったらどうしてくれんの?」
「ああ、すみません。その話しをしていませんでしたね。もちろん、その場合は辺境伯家が保証しますので、ご心配しないでください。」
「だいたいさあ、なんでこんな子供が!俺らに指図するんだ!?領主が、辺境伯が、なんだってそんなに偉いんだよ。」
「コラッ!」
と、その青年、たぶん15歳くらいの子供がお母さんに叩かれる。
まあ、7歳の子供の言うことの信ぴょう性ってなあ。
「僕のことは信じなくてもいい。だが、辺境伯は命がけで、領地と領民を守っている。それを侮辱するならば、容赦しない。」
少しの威圧を掛け、青年に向き合う。
「・・・・・ブルっ」
ブルっと身震いはしたが、青年は何も言うことはなかった。
「すみませんすみませんすみません!」
母親が必死に謝っている。
「なあ。母親にこんなに謝らせて、恥ずかしくねえの?」
「・・・すみませんでした。」
少しの沈黙のあと、青年は謝ってきたのだ。
こんな人がいるだろうことは、想定済みであって、僕のことを何か言うだけなら、なにも咎めない予定だった。
だが、この青年は父上や兄上を侮辱するという、やってはならないことをした。
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数か月後、雪下野菜を収穫した。
雪が降る前に収穫し、保存魔法をかけていた野菜とを食べ比べる試食会を開催した。
領地の農家を始め、冒険者、騎士、辺境伯家など、垣根を超えた試食会は大盛況。
やはり雪下野菜の方が甘みが強くて、美味しかった。
その会の終盤で、ぼくにつっかかってきた青年が、土下座をして謝ってきた。
「あのときは、ほんとうにすみませんでした。父さんが死んで、母さんが必死に作ってきた野菜を無駄にするんじゃないかと、疑ってしまいました。謝ってすむ話ではないと思いますが、どうか母さんだけはお咎めなしで、おねがいしたいです!!」
「なるほど。君はお母様思いなんだね。なら、僕と同じだ。僕も家族が大好きだ。その家族を侮辱されたと思って、怒っただけだ。悪いと思うなら、雪下野菜の先導をしてよ。君みたいな人が必要だと思うんだ。」
「はい!!もちろんです!!一生懸命やらせていただきます!一生ノア様に着いて行きます!!」
そうして、無自覚に信者をさらに増やすノアだった。
さてはて、ノアが旅経つと知った信者たちは、どういう行動にでるのか・・・フフフ。
その試食会のあとに僕は、”リートルテの甘い野菜/あ・ま~い”と、雪下野菜に名前を付け、ブランド化させた。
瞬く間に国中に広まり、王都でも入手困難なほど人気がでたのだった。
え?名づけが下手だろって?
細かいことは気にしな~い。ハッハッハ




