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『ノア、ノア!気をつけて!邪悪な感じがする。』
リルだ。最前線についたときにリルには、影に入ってもらっていたが、そのリルが僕に念話してきた。
剣で攻撃しながら、リルに答える。
『分かった!!』
『出口を少し開けといて!まずくなったら、僕も出る!』
『了解!』
影の出入口を少し開けてから、戦闘に集中する。
こいつは・・・魔法を使っているのか?
黒い魔法の斬撃のようなものが、僕らに襲いかかる。
隊長もさばききれず、ケガがだんだんと増えていく。
かくいう、僕もさばききれていない。
致命傷は必ず、避けられるように、かわせるようにしながら斬撃を攻撃する。
黒ということは、闇魔法ではないか、と狙いを定め、聖魔法をまとわせながら、剣をふるう。
斬撃に対処しながら少しずつ近づいていけているのだが、ほんの少しずつしか進めない。
このペースでは、他の者たちが力尽きてしまう。
一気に片付けられる方法はないのか・・・
と、試案していると、リルが出入り口を広げ出てきた。
「リル!どうすれば近づけるかな?」
リルは、ジーっと黒い魔物を見つめている。
リルの視線を受け、攻撃ばかりしていた黒い魔物が、動揺しているのがわかった。
このスキに近づき仕留めようかと悩んだが、リルのことを信じて待つことにした。
時間にして約10秒ほど。
ようやくリルが会話をしてきた。
『ノア、聖魔法。浄化だ!』
リルが念話で話してくる。
『了解!』
しっかりと、魔物を視認して、ちゃんとそこにめがけて魔法を発動する。
_浄化_
すると、キラキラっと光が魔物を包んだ。
その魔物が浮き上がり、クルクルっと回転した。
某アニメのプ〇キュ〇の変身?のような・・・
光が収まり、もう一度魔物の方を向くと・・・
そこには、神々しいオーラを放つ何かがいたのだった。
その何かが、リルに向かってきた。
え!?リル!?危ない!!
近寄って行った何かは、リルを抱きしめている?ように見えた。
抱きしめながら、リルの頭を撫でている。
え?4足歩行してたよ、さっき。
なんで2足で立った?
それと、これって・・・もしかして、神話に出てくる、あの生き物?
え?何これ・・・え、これって、どういうこと???
と、さすがの僕も混乱したのだった。