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「お気をつけて!」
「兄ちゃんたち、生きて帰れよ!!」
「戻ってきたら、定食食いに来なよ!タダにするからね!」
避難する住民とすれ違うたび、戦場へ向かう僕らへ暖かい声がかけられる。
安くて、ボリューミーで、美味しくて、みんなの母ちゃんてきな定食屋の女将が声をかけてくれた。
冒険者に大人気の定食屋さんなんだ。
「おお”!!やったぜ!」
「くゥ~!酒も頼む!」
なんて、言う冒険者たち。
街の住民のおかげで、指揮がさらに上がった。
いい傾向だ。
父上はもうついているはずだ。
砦の騎士も部隊別に戦力を投入しているはずだが、そろそろ疲れが見え始めている頃だろう。
早く着かないと、早く着け。
馬を走らせ、5分。ようやく砦が見えた。
門番はいるが、僕を見て素早く開けてくれた。
「父上はどこか。」
門番に聞く。すると門番は上を指さし、
「砦の監視棟に。」
と言った。
「ありがとう。1部隊、ここで待機!」
そう言って、階段を跳躍魔法を使い、駆け上がる。
目指すは、父上がいるであろうてっぺん。
監視塔の頂には、予想通り父上と、執事がいた。
「父上、状況は?」
「おお、ノア。早かったな。今のところ、五分五分だ。第一、第四部隊は先陣切っていた。私が来たときには、すでに戦っていた。今は後方へ戻ってきている。第二、第三部隊が今は最前線にいる。第五部隊は中ほどにいる。」
「そうですか。作戦通りですね。僕らのいる1部隊は、冒険者の中でもスピード重視の者を連れてきましたから、普通ですよ。そろそろ騎士も疲れが見える頃でしょう。私の部隊が今から最前線へ行きましょう。騎士団の第五部隊が最前線に立つときには、一緒に最前線へいられるでしょう。」
「ああ、頼む。」
「はい!お任せを。」
追いついた副ギルド長に後を託す。
「じゃあ、副ギルド長。後は頼みます!」
「はい!!」