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「そうですね。」
「ははは、ハッキリ言うなあ。」
「こればっかりは、変えられませんからね。」
「そうか。分かった。引き留めて悪かったな。」
「では、俺らはこれで。」
ギルド長と別れ、1階へ降りていく。
すると待ち構えていたかのように大熊のパーティーが待っていた。
なんだよ、暇なのか。
「おお、待ってだぜ。」
「悪いな、俺らはこれから宿探しだ。時間がない。」
「つれねえなあ。俺らの仲じゃねーかよ~」
「俺らの仲って、悪いだけだろ。」
「ははっ、ちがいねえけど。いっちょ付き合えよ。」
ガゼインはチラチラとこっちを見てきて僕たちの心配してくれてんのかな。
ガゼインは優しいやつだな。
「わりい、ほんと急ぐから。」
「なんだよ、なんだよ。ほんとに子守りが忙しいんだな。」
「どこが子守りに見えるんだよ!!」
あ。
ーガゼインは 限界を迎えたー
ゲームのアナウンスか!なんて。
「どっからどう見ても、子守りだろ。ガハハ」
「ノアさんを侮辱する奴は、だれでも許さねえ!!」
今にも殴りかかりそうなガゼインを、手で制す。
ここで手を出したら、負けだ。
ガゼインもまだまだだな。
「いいよ、何に付き合ってほしいの?」
「戦うんだよ!お子ちゃまは引っ込んでな!」
ニヤッ。
「ノア(さん)・・・」
ん?
「悪い顔になっているよ。」
兄上が言うと、大蛇がウンウンと、激しく頷いた。
そうかな?そうかもな。
「いいね、じゃあ模擬戦しようよ。」
「だーかーらー、お子ちゃまは・・・」
「大熊さんたちよォ。あんま、煽んない方がいいぜ?」
と、ガゼインさんが言う。
「え・・・?」
僕はニッコリ笑いながら、少し魔力を開放した。
すると周りの人たちが、ブルっと身震いした。
「え?え!?」
焦っている大熊のメンバーに、畳み掛けるように話す。
「さ、模擬戦しましょ?強いんですよね。行きましょ。訓練所は地下だよね?」
そう言って、ガゼインを見ると頷く。
そして、スタスタ歩いていく。
「あれ?来ないの?大熊さんたち。不戦勝?」
と、鼻で笑うように言うと、リーダーらしき人が怒ったようだ。
「ふざけんな!戦ってやるよ!行くぞ!」
そう言い僕を追い越して、先に行く。
そのあとを僕たちも続く。
訓練所に行くと、不穏な空気を感じ取った、先に訓練所を使用していた人たちが、観客席へ向かっていく。
さっきのやりとりを見ていた人達も、ギャラリーとして来て、大人数になっていた。