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「だから、これからスタンピートに向けて、こちらに援軍をと思っているなら、ちゃんと申請をしてほしい。いきなりやってきた冒険者が、マナーもなってないうえに、威張り散らす。そのわりに、大して強くもない人間は、いるだけでジャマになんですよ。」
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ギルド長は、無言だ。
「そんな新人みたいな冒険者を一から教育するくらいなら、リートルテをホームギルドにしている冒険者を強化した方がズッと効率がいい。王都の冒険者は、正直面倒事にしかならないんですよ。王都周辺にいる魔物なんて、辺境にいる赤ん坊の魔物レベルですよ。それを倒してきたからって、どこが戦力になるのです?そのうえ、実力に見合わないランクぶら下げて、えばるんですから。言い方は厳しいですが、正直時間がもったいない。対処する時間ってすごく疲れるし、時間もかかりますから。有名な方で、同じように戦ってほしい人にはこちらから声をかけますし。辺境とはいえ、冒険者ギルドの機能はしっかりしていますから、先のリートルテとは正反対に位置するレートルテ領のスタンピートで活躍した方々のお名前は、ちゃんと伝わってきていますし。」
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「うむ、わかった。こちらからは、何もしないよ。」
「ええ、お願いします。誤解しないでくださいね、僕個人も、リートルテも援軍がいらないとは言っていないのです。最低限、他の冒険者と協力しあえて、強い人なら、大歓迎なんです。」
「わかった。行きたいという者がいたら、ちゃんと申請を出すようにする。勝手に行くなとくぎを刺しておこう。」
「「よろしくお願いします。」」
「そういうことで、俺らはノアさんに着いて行くので。ノアさんが王都に残るなら、俺らも残りますけど、たぶんノアさんは王都じゃ物足りないから、無理じゃないすかね。」
「いや、物足りないって。」
「事実ですね。護衛依頼で楽々と一人でほぼすべての魔物を倒して、盗賊は捕縛まで一人でしちゃって、辺境から王都まで着いちゃうような人が、王都の魔物で満足できるわけないもん。」
「だから、僕をなんだと思ってるの?」
「めちゃくちゃ強い5歳児?」
ハハハ(笑
確かに規格外かなーとは思うけど、そんなこといったら、父上も兄上もバケモノだよな。
「それ以前に、僕はまだリートルテ辺境伯家の者だ。領地にも領民にも責任がある。だから、王都を拠点にできるわけがないんだけどな。」
「あ、そうでしたね!ま、俺らはノアさんがいればどこでもOKだからさ。ガハハ」
「そういうことか・・・そこまで、明確な意思なら残ってもらうのは無理か。」