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「はい、もちろんです。」
「私たちは、職業柄いろんな地域へ行くでしょう?そこで、優秀な子を見つけたら、引き取ったりしているの。もちろん、ちゃんと親がいる子たちを無理に引き取ったりはしてないわ。現に、既に二人引き取った子供がいるのよ。その子達は、親を亡くして神殿にいた子供と、裏路地で暮らしていた子供なの。二人ともちゃんと、養子になっているわ。」
「そうなのですね。素晴らしいです。」
「本当の子供はね、一人は本店を任せているわ。もう一人は、女の子で嫁いでしまったの。」
「まあ、老夫婦の気ままな人材探しだよ。仕事のついでに、優秀な次代の商会を支えてくれる人を探してるんだ。その過程で少しだけでも、社会の役に立てていたら、とは思っているんだ。」
「ふふっ。偽善じゃなく、本音も入っているところが、ますます信頼できますね、兄上。」
「ああ。どうでしょう?後見人の件、前向きに考えてみてはくれませんか?ノアは10歳になったら、家を出る覚悟でいるのです。」
「なんと!」
「なぜなの?次男とはいえ、補佐をしたり仕事はあるでしょう?」
そこで、ううんと首を振り、懸念していることを話した。
「まぁ・・・そんな。」
「うむ、一理あるな。わかった。後見人の件は、王都に戻り次第、手続きを進めよう。また3ヶ月後には、商会の仕事でリートルテ領に行くから、そこでご両親にご挨拶させてもらえないかい?そこで、了承をもらえたら、正式に提出しようか。」
「ええ、もちろんです!両親には、話しを通しておきますので、よろしくお願いします。」
僕も兄上に続けて、頭を下げたのだった。
途中の侯爵領で一泊し、また王都を目指す。
魔獣が出ては倒し、を続けていた。
辺境伯領を出ると、魔獣よりも盗賊のほうが増えていった。
できるだけ捕縛し、進む。
なるべく、殺生はしたくない。
だから、できるだけ捕縛して、ギルドに引き渡すのだ。