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訓練所のある地下1Fへ降りると、何名かが訓練していた。
「訓練所は区分けされている。視界は大きく開けているが、結界によって仕切られているから、強い者が初心者をケガさせないように、配慮されている。あっちは新人がお金払って、冒険者Bランク以上の者から指導を受けている。新人限定で、格安だから、オススメだぞ。こっちは初級者向け、隣が中級者向け。あっちは、上級者向け。他にパーティ同志で、訓練している人もいる。それと、模擬戦をする者もいて、さまざまだ。パーティー訓練やら、模擬戦をするものは申請して、各区分けされた個別のスペースで、訓練できるぞ。」
「なるほど。それは、安心して訓練できますね。ちなみに、結界の強度は?」
「今結界をかけているのは、このギルドをメインに活動しているAランク冒険者の者だ。そこそこ強いはずだが・・・ダンテの息子じゃ心配だな。」
「わかりました。ほどほどにしておきますね。」
そこへ、がたいが良く、強面な大柄な男が近づいてきた。
「おいおい、お貴族様はここには用ないだろお?登録終わったんなら、さっさと帰んな!これから、俺らのパーティーがここいら一帯借りて、訓練するんだからよお。」
「ほーう。そうなのか?ギルド長。」
「いや、そんな申請なかったはずだが?」
「今してるんだよ!」
「ああ、じゃあ先に申請してくれているだろうから、1区画は使えるだろうよ。」
「はあ!?だから、皆どけって。俺らは、王都からスタンピートがもうすぐだろうってんで、来てやっているんだからよ。どくのが筋だろ?」
「ギルドとしては、そんな依頼はしていない。」
「領主からもそんな依頼はしていないと思うのだが?」
「はっ!んなもんなくても、王都で聞いて、わざわざ来てやったんだから、そうするのが当たり前だろ?」
ああ、こういう人はどの世界にもいるんだな。
父上が領主なのも知らない。
ギルド長にも、ため口。
こういう人に限って、ランクも大したことないんだろうな。
「従う義理がない。まあ、ただ邪魔にならないように、あちらの端を使わせてもらおうかな。」
「おいおい、坊主。お子ちゃまは、登録だけしときゃー、いいんだよ。さっさと帰んな。」