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今日も一番乗り。
目下の者が一番早くついている、これ常識。
ここ1年は常に意識してきたこと。
と考えていると、兄上と姉上がそろってやってきた。
「おはようございます。兄上、姉上。」
「「おはよう。ノア(ちゃん)」」
「姉上・・・洗礼式を迎えるのです。そろそろ”ちゃん”はおやめください。」
「何よー!他の子は、まだ”そんな風”に呼ばれているわよ!」
プウっと頬を膨らます姉上。
「姉上、可愛いですが、そんな顔されてもダメです。」
とニッコリ。これで、姉上は落ちる_
「もう!ノアったら。可愛いって。」ウフフ
「ノア、ますますうまくなったな。」と笑う兄上。
姉を転がすのが上手いそうだ。
前世の影響か、人の心理がとてもよくわかるのだ。
これは、僕の武器になる。
身近な家族にどう対応すればいいかなんて、一目瞭然だ。
イーマスは強敵だけどね。
なかなか、落ちてもらえない。
でも最近わかったんだ。
イーマスには、本音をぶつけるといい_ってね。
「おまたせ。みんな、おはよう。」
「「「おはようございます。」」」
「早速、いただきましょうか。」
「はい、母上!」
「「「「「いただきます。」」」」」
「ノア、いよいよだな。」
「はい、父上。」
「よく眠れたか?緊張しているか?」
「よく・・・眠れませんでしたね。たぶん、緊張しています。」
「クスクスッ、ノア大丈夫だよ。僕より優秀なんだから。」
と、兄上が言う。
「そうでしょうか?でも、早く起きてしまいました。」
「ノア、私たちは家で準備しているわ。気を付けて行ってくるのよ?」
「はい!姉上!ありがとうございます。」
「フフっみんなノアが大好きなのよ。どんなステータスだろうと、どんな子だろうと、大切な家族なのよ。なにも、心配いらないわ。いつも、どんなときも、安心して、帰ってくればいいの。」
「母上っ!」
つい涙ぐんでしまった。
「あらあら、フフッ。」
母上が近づいてきて、背中を擦ってくれた。
あぁ・・・神様、ありがとうございます。