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「うーん、そうですかねえ・・・学園に行く気はありませんから、やっぱり難しくないですか?」
「そこはお茶会なり、年に2回ある4辺境伯家の交流会に参加すれば、出来ると思うよ?」
「まあ、でも、坊主に同年代の友人っていうのは、難しいかもな。」
「そうですよね・・・」
なんか、結構落ち込む。
「おいおい、悪い意味じゃないぞ?坊主は大人だ。俺らと対等に会話できる。そこら辺の5歳児なんて、ようやく会話がスムーズになった、簡単な会話ができるようになった、外で駆け回ってる、そんなレベルだ。坊主には、物足りなく感じるかも、と思っただけだ。」
「じゃあさ、ノア。僕の友人に紹介するよ。学園で学んでいて、それなりに大人の会話にも混ざれる。ね?どうかな。本当は、こんな可愛いノアを紹介したくはないけど、ノアのそんなに悲しそうな顔は見たくないからね。だから、ほらそんな顔をしないで?」
「僕、どんな顔をしているんでしょう?」
「悲しそうな顔だよ。」
そう言うと、兄上は頭を撫でてくれた。
「そうだぞ、ノア。落ち込むことはない。子供たちが優秀で、鼻が高いよ。そのうち、同年代の子供たちが、ノアに追いついてきたら、友人もできるだろうよ。だから、泣かないで。」
そう言って父上は、僕を抱き上げた。
え?僕泣いてる?そう思って目元を確認するも、濡れてはいなかった。
僕、泣いてないじゃん・・・って思っていた僕の気持ちを見透かすように、父上は言葉をつなげた。
「本当に泣いてなくても、ノアのことならわかるんだよ。」
ああ、父上も兄上も、僕の家族は僕にゲロ甘だよ。
ねえ、でも神様。心配されるのって、僕を分かってもらえるのって、こんなに温かい気持ちになれるんだね。
神様、ありがとう。
今日時間があったら、神殿にも寄ってもらおう。
ちゃんと、感謝の気持ち伝えなくちゃ。