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江戸前ダイドコロ




街の真ん中にあるのは大きな屋敷だった。それも驚く程に大きい。何坪あるんだ。ここでリュージは確信する。




(これは、やばい……殿っぽい人が出てきて縛られ、色々質問されてしまうやつだ……違いない)



「貴様、どこから来たのだ。殿に質問されたら困るだろう。いやされるだろうから、今の内に直ぐに答えられるように……」


「それが……覚えていないのです!」

「何を言い出すかと思えば、くだらない事を。正直に話せ、悪い様にはせん」



町を歩くが周りからの視線がとてつもなく耐えれるものではないと言わんばかりに……見られる。


「何も覚えていなくて、目覚めると町の入口におりまして! それで、所持品にヒント……じゃなくて何か手掛かりはないものかと思い確認しておりまして……」


「なるほど……貴様らもか。まぁいい。もうすぐつく。大人しくしていろよ」



やけに優しく接してくれるせいで、どこか調子が狂ってくる。そんな中、ワラシは一人ソワソワしていた。だがリュージが話しかけてしまうと怪しまれてしまう。



「今から行く所はとても偉い方の……?」

「あぁ、そらはもう凄いお方だ。なぜならもうすぐ革命が起こせそうなのだ!」



革命……? 何か争い事でも始まるのか?


「革命と言いますと?」




「そうか! 異郷のものよ。もしや何か知ってるかもやしれん! これはいい、殿に報告だ!」

リュージからすれば全くもって話が見えてこない。が、ワラシはやはり様子が変だ。キョロキョロし、周りを伺っている。



「お……すごい」


そして、その大きな屋敷に着いたのだ。


「こんなにも大きな門、見たことが無い……」


リュージがそう独り言を言うと、ワラシが反応し、ボソボソと話し出す。




「ここは亀崎家だ……。私が生まれ育った場所だ。私の思い出が詰まった場所だ」


(まて、でも、そうなると。僕達がここに来た時、今がその時だ。ワラシはこの家に生まれていたのか? ご健在なのか? お元気なのか?)




そうだ、そう考えるのが最もだ。なぜなら同じ者同士、会えばなんらかの影響が未来に起こるかもしれない。そうなるととんでもないことになるかもやしれん。

侍が大きな扉を開けて門をくぐる。玄関までの道程は長く、中へ入ったと思えば部屋ばかり、階段なんて一段が高くて登りにくい。殿がいるという部屋の前まで来て気付く。ワラシがいない。恐らくは屋敷内で出くわさない様にと外で待っている事であろう。それはそれで、心配なものだ。




「殿。連れて参りました」

「うむ。はいれ」



中は普通で和式の部屋。八畳ほどの部屋に一人、ポツンと座っている。それが亀崎家当主、亀崎嘉平。



「うむ。この町をまとめている、亀崎嘉平だ覚えておくように。それにしても変わった服装をしておる。何か聞いているのか? 兼三よ」




(あ、この侍さんは兼三っていうのか……)



「はい、この者は記憶が無いと申しており、以前同様中身のものを確認し、非常に悩んでおりました。そしてこちらは異郷のもの! きいてください! 当主!」


「うむ、なんだあ」




「この者に、食べていただきましょう。あれを……異郷の者、もしや何か知っているかもやしれません」




リュージの事を異郷の者と言うのはまんざら間違っていないのかもしれないが……。



「うむ、信頼してもよいのか?」

「それはなんとも言えませんが……」

「すみません、何をされるのですか?」




急な質問に答えるはずもない、そう思っていた。


「うむ、新しい料理をね」

「その料理名だけでもお教え頂けないでしょうか?」




沈黙が続く。もちろんそうだ。見も知らないやつが来て。隠し事を言うのだ。ここでもしリュージが逃げたりすれば一大事だ。それなのにこの当主はあっさり答えたのだった。




「うむ、てんふらだよ」




リュージの聞いた事のある料理名だ。江戸時代に開発された「てんふら」という食べ物は、現代社会でいう「天ぷら」だ。て、事はリュージ達がやってきたこの時代は一六六九年。




「とんでもなくタイムスリップしたものだな……あ! その料理なら知ってます……!」


「うむ……なんだお!? 同じのがっ」


「いえいえいえ! 同じのなんてございません! ちなみにどのような料理なのですか?」




危ないところだった。このまま口を滑らしていたら更にややこしい事になっていたに違いない。


「うむ、兼三、教えてやれい」


「そうですね、米粉に具材をつけ油で揚げるといった単純な料理、そして非常に美味な料理です……ですが、未だに少し難しい所も多々ございまして、改良に改良をといった感じで前に進めておらずという感じです」


「なるほど、それなら協力出来るかもしれない」



「本当か!?」


「ですが、少しばかり条件もあります。僕達を、いえ僕を自由な身にしてほしいのです。そして後……服とかね。これでどうかな?」


「構いませんとも! 当主もそらで構いませんか!?」

「うむ、勿論だ」




そうしてリュージは兼三に手を引かれて屋敷中を歩き回され、辿り着いた場所は台所。





「さぁ! 一緒に料理をしようじゃないかあ!」





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