モブから主人公へ
ただのみらのでございます。
もう、アップするだけなのでそんなに書くことないですね(*^-^)
「~~~♪」
自分の好きな歌を口ずさみ、るんるんと踊りながら制服の袖に体を通していく。
「ん~?変じゃ…ないよね!大丈夫!大丈夫!」
何度も確認している自分と制服とのバランス。前述の通り、さっきから何度もこの行為を繰り返している。
着ては確認し、変だと思い一度脱ぎまたちゃんと着直す。もちろん歌を口ずさみながら。
ピロン♪
携帯から通知音が鳴る。
[由実まだ?さっきからずっと待ってるんだけど?]
「あ、そうだ!由実と一緒に行く約束してたんだった!」
さすがに繰り返しすぎた。と反省しながら。またこれからの新生活への期待を胸に。
友の元へ行くため自室を飛び出し玄関へ向かう。
今年からは一人暮らしなので家には自分以外だれもいない。ただ、この言葉はどうも習慣付いているらしく、自然と口から飛び出してくる。
「行ってきます!」
「ほーら!早くしろー!初日から遅刻だぞー!」
彼とは正反対に位置する主人公。もしもこの世界がアニメや漫画などの世界とするならば、彼女は主人公と呼ばれる位置。もしくはその主人公を支える準主人公のようなものだろう。
そして彼女は、いや。これは今からの話を聞いた方がいいだろう。私から話すことではない。一つ話すことがあるとするならば、私はこの世界を知っているもの、だ。この事もまた、後の話で伝えよう。
________________________________
「行ってきます!」
「ほーら!早くしろー!初日から遅刻になるぞー!」
「えぇ!?もうそんな時間!?」
そういってポケットにあるスマホを取り出し時間を確認する。
「ホントだ!早く行こ、佑香!」
「さっきそういったでしょうがっ!」
「いっ…!」
頭を叩かれた。しかもスマホで!相変わらず佑香は酷い!赤ちゃんの頃からの付き合いなのに、そんな私をこんな風に扱うなんて!
「むしろそれくらい付き合ってるから、そういうとこを直せっていってんの!ほら、早く行くよっ!」
「あ!待ってよ~!」
(というか、声に出てたんだ…。)
昔からの癖が治ってないことに落ち込むより、これから始まる高校生活!JK!なんていう明るい言葉で自分の心を良い方へと向ける。
彼女は高野由実。これから高校生となって人生の針をまた進めていく人である。
そして、その友である高平佑香。
彼女らの付き合いは、その母親同士、父親同士から始まり、赤ん坊の頃から幼稚園、小学校、中学校、そして高校。この間特にこれといったことがない限りずっとそばにいて、共に歩んできた幼馴染同士である。
例としてあげれば、旅行ですら両家族で共に、そして誕生日パーティーも家族皆が両家族に祝われるというほど。それほどに仲良しなのだ。
「ね、ねぇ、佑香?」
「ん?どうしたの?」
「高校生活楽しみだね!」
「うっ!うん!」
「んー?顔赤いよ?佑香」
「ささっきまで走ってたからだよ!」
…。まあ長く付き合えばそれほどに何かが起きてもおかしくはないのだろうが。
時を越えて行き、入学式の次の日へ。
「ねぇ佑香。あの子やっぱりすごいよね。」
「ん?あー、あの子ね。分かるよ。」
あの子。とは。昨日入学式の後に教室に集まった際、そこまで時間はないので、クラスメイトの顔しか見れなかったのだが
「だってさ、瓶底眼鏡につるつるの髪の毛。キャラが強烈すぎだよ。」
「それにさー?何か髪の毛も漫画とかの端にいるネタキャラみたいな感じの髪型だし。」
「何かもう、色々と目立ちすぎというか…。」
「だねぇー」
(まあ、好きだった世界の雰囲気が出てると少し興味湧いてきてたり…。)
「そーいえば今日自己紹介するんだっけ?熊田言ってたよね?」
「あー!また佑香先生を呼び捨てにしてる!ちゃんと先生つけてって前から言ってるでしょ!」
「由香が忘れ癖治さないなら私も治さない~♪」
「何それ~!私忘れ癖なんてないもん!」
なんて会話をしながら通学路を歩んでいく二人。
やはり、ここでもう喋ってしまおうか。
彼女、高野由実はモブキャラから主人公へと昇格したモブを目指すこの物語の‘彼’とは真逆の存在なのである。
幼稚園、小学校までは普通に生活し、普通に一日を過ごしていた彼女だが…
中学校ではアニメや漫画にドはまりし、今までは他人と絡みながらの生活だったのが、「二次元が友達だから」と言い切る程にその娯楽へと堕ちてしまった。
だがJKに近づいていると意識し始めたら、このままでは行けないと友達、幼馴染、いや親友である佑香に手伝ってもらい自分をまた影から光へと住む世界を変えたのだ。
ちなみに親友の方は堕ちてはいないが、由実との会話を弾ませるため彼女の見ているアニメや好きな漫画は全読破、全部リアルタイム視聴など、彼女のために何かを尽くしていたそうな。
ただ、そんな彼女。せっかくモブから主人公へと近づいたのだが、前の自分が今の自分を少しずつ少しずつと変えていくのであった。
という訳で、物語上二人目の主人公となります。
そして次回は彼女視点の自己紹介です。