第6話 新米魔法使い
「グランディルがやられたって本当かよ?」
「あぁ、昨日の昼、グランディルの生命反応が途絶えた」
「マジかよ~!結構使えそうだったのにな。誰が殺ったんだよ?」
「そこまでは分からん」
「ッチ!で?また新しい奴作るか?」
「いや、もうモンスターを作るのは無駄だ。それよりも・・・・」
今日こそ街を探索させて頂く!という訳で、変装して出かけようと思う。
「その必要は無いわ」
「ハッ!いつの間に!ていうか久々にエスパー能力使ってきましたね」
「何の事かしら。国王から直々にアナタの邪魔をしてはいけない。話しかけられたら喋っても良いとお触れが出たから、安心して出掛けていいのよ?」
時代劇かよ・・・・。でもそれなら確かに安全だな。国王Thank you!
「じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃーい」
「行ってらっしゃいませ!」
門番も毎日大変だな。
相変わらず人が多い。僕はまず市場へ行くことにした。
―市場―
「と言っても買う物が無いな・・・。うん?」
おしゃれな雰囲気が漂うカフェがある。
「取り敢えず、あそこでゆっくり考えよう」
―カフェ・パンプクウ―
「いらっしゃいませ~」
スタイル抜群の綺麗なお姉さんが出てきた。どうやらカフェの店主のようだ
「コーヒー一杯」
「かしこまりました~。おい!コーヒー一杯!!」
「「「はい!!!」」」
静かで落ち着いた場所かと思ったら随分熱血だな。コーヒー一杯でそこまで真剣になるとは。
「お客様、少々お待ちくださいませ」
5分後
おっとりとした顔の女の子が持ってきてくれた。
「お、お待たせしま、しっうわああああああああ!」
熱々のコーヒーが僕の顔面に降りかかった。
「ぎゃあああああああああ熱いいいいいい!!!!」
「はわわわわわわわ」
「何やってるの!?」
咄嗟に店主のお姉さんが駆け寄ってきて、冷却魔法で冷やしてくれた。
「お客様どうかこの子を許してやって下さい。この子はまだここに入って半年も経ってないんです。ほら、お客様に謝りなさい!」
「ず、ずびばぜ~ん、うぐ、えぐ、ひっく」
「良いんですよ。わざとじゃないんだし、新人さんならしょうがないですよ」
その後もペコペコ謝り続けてきた。その後新しいコーヒーを持ってきてもらい、コーヒー代はタダにして貰った。その後も僕はカフェで寛ぐことにした。
「あの・・・・」
先程の女の子が話し掛けてきた。
「何?」
「間違ってたらすいません。大きいモンスターをやっつけたっていう人ですよね?」
やはりバレてしまっている。
「そうだけど?」
「やっぱり。あの・・・・私を弟子にして下さい!」
「え?」
「私強くなりたくて、でも大した武器は使いこなせないし、魔法も少ししか出来ないけど、お願いします!」
そうは言われても旅をしてる訳ではないし、僕の独断で決める訳にはいかない。そうだ、マティさんに相談してみよう。
―城:マティの部屋―
「良いんじゃない?仲間は多い方が良いし。何故か君も十分強くなってるみたいだし」
「あ、ありがとうございます!」
「ところで、お店はいいの?」
「はい!店長が許してくれました」
「そりゃ良かった。ところで君の名前は?」
「ミリエール・ノスタルです!これからよろしくお願いします!」
早速ミリエールに、魔法の訓練をさせた。思いの外上達は早かった。僅か3時間足らずでメインの魔法が使えるようになった。魔法の才能あるなコレ。
―中央棟:会議室―
「彼は本当に強くなっています!」
「一体どうやって強くなったのかは解らないのか・・・・」
「だが、あの少年ならやり遂げてくれる筈だ」
「いや、得体の知れない者を外に出す訳にはいかん。もしかしたら帝国軍のスパイかもしれぬぞ!」
「それはないんじゃないのか?あの者は正真正銘、マティ殿が別世界から連れてきた人間なのだろう?」
「陛下、ご決断を!!」
「うむ・・・・・・。旅に出させても良いじゃろ」
「陛下本当によろしいのですか!」
「実際に驚異的な強さを持っている。今のところ敵意は見られん」
「ぐぬぬ・・・・・」
「決まりだな。本日は以上!解散」
「ハックショーーーーン」
「大丈夫ですか?」
「あぁ、ちょっと鼻痒かっただけだから。ほら炎が消えちゃうよ」
「あわわわわ」
何だか嫌な予感がする・・・・。気のせいだと良いんだが。
夜
「今日は本当に有難うございました。またよろしくお願いします!」
「あはは。じゃあ、おやすみ~」
「はい!お休みなさい!」
ミリエールは少し上機嫌で自分の部屋へと走って行った。
「僕も寝よ」
今夜は月が綺麗だな。大きくて真ん丸だ。
お休み・・・。