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Absolute Zero 4th  作者: DoubleS
第五章
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答えは存在するのか 6

 放課後になり、霧矢は生徒会室に向かおうとするが、西村に呼び止められた。

「今日、中里が生徒会室に来たいらしい。いつもの会長との訓練のスタート、ちょっと遅らせてもらえるか?」

「別に構わない。僕も先生にちょっとした仕事を頼まれた。遅れていくから先に行っててくれ」

 りょーかい、と間延びした声で西村はつぶやくと、霧矢に背を向けて歩き出した。彼が教室を出ていくと、霧矢はカバンから携帯電話を取り出す。メニューから上川晴代のアドレスを選択し、メールを打ち込む。

(……西村、悪いな。嘘ついて)

 直接彼女と会って話してみてもよいのだろうが、霧矢の提案を既に実行してしまっていたのなら、その現場を誰かに見られると面倒なことになりかねない。

 ――例の件についてだが、結論を教えてほしい。それと、今、生徒会室に行くな。中里と西村の二人に鉢合わせすることになる。もし、僕の提案を受け入れるなら、会長には僕の方から辞めるということを伝えておく。きっと、会長もお前を責めたりはしないから安心しろ。

 送信ボタンを押すと、霧矢はため息をついた。

 もし霧矢が晴代の立場ならば、躊躇なく連中との縁を切ってしまうのだが、そこが一匹狼の男子と普通の域を出ない女子の違いなのだろう。

 普段の霧矢なら、よくわからん。の一言で切り捨ててしまうのだが、今回ばかりは人の幸せがかかっている分、簡単に切り捨ててしまうわけにはいかない。

 カバンに教科書類をしまいながら、霧矢は遠くの景色を見た。そういえば、今朝、マジックカードを受け取る約束を有島としていたが、それすら遠い過去のことのように思えた。それだけ、今日起きた出来事は重大なことだった。

「まったく、面倒事ばかり起こりやがる……」

 携帯電話のディスプレイを眺めながら、霧矢は誰もいなくなった教室から出た。少し時間を潰すのであれば、図書室が適していると考えた。

 図書室に向かう廊下を歩きながら、霧矢は足元を見ながら歩いていた。人気は少なく、下を向いていてもぶつかることはなく、気が付いたら図書室の前にいた。

 普段来ることはあまりない場所だが、霧矢は図書室の雰囲気は決して嫌いではない。むしろ、本の紙の香りが漂う静かな場所は好きな部類に入る。興味を引く題名の本を適当に取り、椅子に座ると、霧矢はページをめくった。

 新書を一章ほど読んだところで、ちらりと時計を見ると、そろそろ生徒会室に行ってもよさそうな頃合いだった。読みかけの新書の貸し出しカードを記入して、霧矢は図書館を出た。

 先ほどからずっと待ってはいるが、晴代からの返信は来ない。返事が来ないということは、霧矢の提案をはねつけて、生徒会を続ける。すなわち、連中と敵対する覚悟があるということなのだろうか。

 生徒会室の戸の前まで来ると、中での話し声が漏れてきた。幸い廊下には誰もいないため、中で何が起こっていたとしても、知る人間は霧矢だけだ。


「……西村、とりあえず、あんたは少し静かになさい」

「……だが、そんなことがまかり通ってたまるか、上川! お前はそれでいいってのか!」

「…だって、宣言しちゃったものは…仕方ないし……」

「……三条は何を考えてんだ! そんな腐った考えをするとは思わなかったぞ!」

「……でも、すみません。あたし、やっぱり生徒会を辞めます。宣言しちゃった以上、宙ぶらりんになるわけにはいかない……」

 どうやら、メールを送ったものの、時間的なすれ違いがあったらしい。霧矢は漏れてきた声を聞きながら、深呼吸した。そのまま、生徒会室の戸を開けた。

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