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12月

12月の寒空の下。


「山の上の公園へ行こう」


いつものように突然、言い出した彼女。


こっちの意見なんか聞いちゃいない。


ならば、断ればいいのだろうが、結局いつも彼女の願いを叶えてしまう。



「寒いね」


それなら、こんな日に外へ出ようなんて言うなよ。


口に出せないから、心の中で言ってみた。


「見て。すごく景色がいいよ」


こっちの様子なんて気にもしていない彼女は、感じたこと、思ったことを素直に表現する。


「こんなに天気がいいのに、人が少ないね。もったいないな」


そりゃ、冬だから。こたつでのんびりしたいよ。


「あ、霜柱が残ってるよ」


冷えてたからな。それにしても懐かしい音だな。


「氷張ってる」


矢継ぎ早に言葉を発する彼女にいちいち返事をしても仕方がないのはわかっているが、


今日はまた一段と言葉が飛び出し、表情がころころ変わる。


しかし1時間も景色がいいだけの形式上『公園』と名の付いた、しかも山の上の風の


通り道にいると、体が冷えてたまらない。


「おい、帰るぞ」


「うん」


我慢できずに言ったのに、嬉しそうに走ってくる彼女。


「うわっ」


気付いた時には遅かった。


勢いがつきすぎて止まることに失敗したのか、始めから止まる意思がなかったのか、


彼女が突っ込んできた。


「ごめん」


ころころ表情の変わる彼女はほんの少し申し訳なさそうな顔をした直後、


何かを見つけたらしい。


「猫!」


こら。結構痛かったんだぞ。


もうこちらには興味がないらしい。彼女は猫を撫でて嬉しそうに笑っている。


何がそんなに嬉しいんだ。



「一緒にいられるって嬉しいよね」



彼女は今日一番の笑顔を向けて言った。


多少の怒りが、毎度この笑顔に騙されていることに気が付いてはいるけれど、


これもまた悪くない。

初投稿です。

思い通りに書くって難しいですね。


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