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26.1.7「寒い日には」
今日は昨日に比べて一段と寒くなるでしょう……天気予報士さんのその言葉を聞いて、幸は憂鬱になった。
寒さはあまり得意じゃない。
雪が降るかも、とか、冬を感じられるかも、とか、楽しもうと思えば楽しめなくはないけれど……。
寒さは思考までも凍らせてしまう。
不安なことばかり考える、それが、幸にとっては恐ろしかった。
「さち、さーち、ほら準備しないと学校遅れるわよ」
「ぁ、うん」
ママの言葉にはっと我に返る。
憂鬱になって、なんとなくぼーっとしていた。
そそくさと朝ごはんのお皿を片付けて、部屋に戻ろうとしたら、ふとママが私を呼び止めた。
「さち、これを持っていきなさいな」
「ん……これ」
「寒いからね、カイロ」
てのひらに収まるサイズの、袋に入ったカイロ。
袋にはゆるい犬のイラストが描かれている。
「風邪ひかないように、ちゃんと温めとくのよ」
「うん。ありがとう。ママも冷えないように気をつけてね」
袋を持って、支度のために部屋に戻る。
曇った窓から白く霞んだ空が見える。
外が寒くとも、幸の心は暖かかった。




