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「真の目」

「森田家の皆さんって、兄妹仲が良くて羨ましいわ」

華乃は眉を下げて、ぽつりと呟いた。

真は、あ、と思う。

華乃は一人っ子だ。従兄弟の啓史は兄のようなものだが、肝心の啓史は名家である篠塚家の後継ぎなこともあって忙しく、なかなか顔を合わせられないこともあるらしい。


「あぁ。まぁ……」

「3人でお出かけしていることもあるの?」

「ある。けど、地味に大変だよ」

「大変?」

真は遠い目をした。

3人で出かける時は、紬も幸も、たまに困ったことを聞いてきたりするのだ。


「紬はコスメ売り場、幸は文具売り場でな」

「あっ」


華乃も予想がついたらしい。

そう、3人で出かける先は大体が駅前のショッピングモールだ。

そうするとまず、紬が幸をコスメ売り場に連れていく。幸は見た目が可愛いコスメをパケ買いしようとするのでそれを止め、紬が自分と幸に合う色を探し、最後は……

『ね、真、どっちの方が合うと思う?』


「桜色のチークか、それより若干赤に近い色味の桃色のチークか。わからん。なんで俺に聞くんだ」

「ふ、ふふ」


なんとか決めて買って、次は書店に向かう。

「俺は追ってる推理小説シリーズの最新刊を探しに行って、幸は紬と一緒に文具コーナーに行くんだよ」

「うんうん」

「で、20分後くらいに幸がシャーペン2本持ってきて……」


『こっちのシャーペンとこのシャーペン、どっちの方が良いと思う?』


「本気で困った顔してさ……でもわからん。俺はドク〇ーグリップしか使ってない」

「ふふっ」


思い出しながら眉を寄せる真を見て、華乃が口元を隠して笑う。

「なぜか2人とも俺に聞きに来るんだよな……俺は本を買えれば、後は荷物持ちしつつ歩いて運動出来ればそれでいいのに」


「2人とも、真くんを信頼しているのね」

「女の子の好み、わかんないけど……?」


「女の子の好み自体がわからなくても、真くんはちゃんと気づいてくれるもの」

華乃が1歩、真に近づく。

真は不思議そうに華乃の顔を見て、あ、と思った。

「今日、リップの色いつものじゃないな」

「うん。……ふふふふっ、ほらね」

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